RZ350(4U0)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:37 UTC 版)
「ヤマハ・RZ」の記事における「RZ350(4U0)」の解説
RZ350は1981年に発売された。 250との主な違いは、排気量(ボア・ストローク=54mm×54mm 247cc⇒64x54mm 347cc)の他、フロントブレーキのダブルディスク化(マスターシリンダーも変更)、オイルポンプ駆動用ウォームギアの変更による吐出量増加、キャブレタージェット類の変更、トップブリッジのハンドルマウントのラバーマウント化、二次減速比変更に伴ってドライブ・スプロケット、ドリブン・スプロケットの歯数変更、リアホイールに内蔵するハブ・ダンパーの大型化(250の丸形ラバー・ブッシュタイプから、チーズダンパーへ変更)など多岐に渡る。内部構造についての言及は避けるが、マフラーに刻まれている文字列に相違も見られる。発売当時のOEMタイヤにリアだけではあったが、当時人気のダンロップK81・TT100が奢られていた。ちなみに250はヨコハマタイヤである。その他機能部分以外にも、スピードメーターのスケールが160km/h⇒180km/hへアップ、ホーンが高低音のダブルタイプになり、ステアリング・ステム(アンダー・ブラケット)前方にブレーキ・ホースの分岐部を隠すための樹脂製のカバーも付いていた。カタログ上の燃料タンク容積の表記に250ccとは0.5Lの差異があり350ccの方が少ない表示になっていた(16L⇔16.5L)が、タンク形状そのものは同一である。 一般には、おおむねエンジンの排気量と、フロントダブルディスク化されて制動力を強化した程度の認識ではあるが、100ccの違いから生まれるエンジンの素性は、パワー・バンドを過ぎた後のオーバーラン特性にも優れ、250ccよりも高速回転域が伸びやかであった。走行性能を大きく左右するパワーウェイトレシオの数値も250の3.97kg/psから3.17kg/psへ引上げられた。これは当時の750ccクラスと肩を並べる数値であったため、ナナハンキラー(北米では「ポケットロケット」)の異名を持つまでの存在となった。 当初は欧州向けの輸出専用車(欧州ではRD350LC)だったが、1981年に国内でも販売が開始された。しかし、国内では車検制度の制約があるため国内販売台数は伸びなかった。また、250ccの車体で350ccエンジンへの載せ替えが容易であったという面から、エンジンを載せ替えて改造しようとするマニアから重宝されたこともあり、350の初期状態のまま現存する車両は非常に少ない状況である。 その後は250cc同様にRZ350R→RZ350RRとモデルチェンジしていくが、スパルタンな趣を与えられた初代と比較して、モデルチェンジ毎に安定志向の強いスポーツモデルへと変貌を遂げていった。ただし、250Rで言う1AR以降のモデルにあたる350Rは国内モデルには存在しない。51Lの350cc版である31Kを最終型としてカタログオフされた。日本国外モデルでは国内でいう3HMをベースとした350Rが存在し、最終型はデュアルヘッドランプのフルカウル仕様となって、後々まで販売された。排気ガスの基準が各国まちまちであるため仕向地にもよる(触媒を採用したモデルでは当然デチューンされている)が、機関、電装系統について総合的にみれば完成度の高いこの国外350Rが最強といえよう。
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