KKKの儀式行為と観点規制の法理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:46 UTC 版)
「ヘイトスピーチ」の記事における「KKKの儀式行為と観点規制の法理」の解説
クー・クラックス・クランによる十字架焼却の儀式はかつて黒人をリンチし、迫害した歴史に起因する行為であり、たびたび裁判で問題となっている。 違憲とされた例として、十字架焼却を犯罪行為としたミネソタ州セントポール市条例の違憲性が問われたR.A.V.対セントポール市事件(1992年)がある。セントポール市条例は、「公共的または私的な財産の上に『人種・肌の色・信条・宗教・性別に基づいて、他者に怒り・不安・憤りを生ぜしめる』と知られている、またはそう知られることに理由のあるシンボルなどを設置した者を処罰する」と定めていたが、連邦最高裁は、条例は中立規制ではないと判定し、「手段は必要不可欠なものでない、あるいは過度に広範である」として、合衆国憲法修正第1条に違反し、条例を文面上無効とした。また連邦最高裁はこの条例が、当局によって「不快」と判断された言葉を差別的に規制する観点規制(viewpoint restriction)に該当するため、憲法違反と判定した。さらに連邦最高裁は、ヘイトスピーチの聞き手の感情的な影響について、被差別集団に属することを理由に攻撃を受けた被害者への二次的効果であるとはいえないとし、セント・ポール市の主張を退けた。 また、Virginia v. Black裁判(2003)では、黒人差別発言を行うKKK集会における十字架焼却について、ヴァージニア州はヴァージニア州法違反として、十字架焼却は不快であり、脅迫行為に該当し規制できると主張した。州最高裁は州法は観点規制であり違憲と判決した。連邦最高裁は一部合憲一部違憲として差し戻すとともに、クー・クラックス・クランは白人至上主義を擁護するが、目的達成を妨害する人であれば白人をも攻撃の対象としており、また、脅迫する故意をともなった「真の脅迫」を禁止するヴァージニア州が、特定の嫌われるトピックの一つにむけられる言論のみを非難の的として選び出していないことから連邦憲法第1修正および先例であるR.A.V.判決に反しないと結論づけ、また州法の「一応の証拠(prima facie evidence)」の規定につい ては過度広汎性を理由に文面上違憲と判断した。オコナー判事は喧嘩言葉や「真の脅迫」は政府による規制が可能と述べた。 この判決では表現行為そのものの規制については合衆国憲法修正第1条違反としたものの(他人を脅したり威嚇したりする)脅迫の目的で利用した場合、この行為を処罰する箇所の州法の規定は憲法違反とは言えないとした。
※この「KKKの儀式行為と観点規制の法理」の解説は、「ヘイトスピーチ」の解説の一部です。
「KKKの儀式行為と観点規制の法理」を含む「ヘイトスピーチ」の記事については、「ヘイトスピーチ」の概要を参照ください。
- KKKの儀式行為と観点規制の法理のページへのリンク