GHQ草案への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 19:17 UTC 版)
要綱の冒頭の根本原則では、「統治権ハ国民ヨリ発ス」として天皇の統治権を否定、国民主権の原則を採用する一方、天皇は「国家的儀礼ヲ司ル」として天皇制の存続を認めた。また人権規定においては、留保が付されることはなく、具体的な社会権、生存権が規定されており、この案が新聞に発表された5日後の12月31日には連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)参謀2部(G2)所属の翻訳通訳部の手で英訳され、詳細な検討を実施したGHQのラウエル法規課長は、翌年1月11日付で、「この憲法草案に盛られている諸条項は、民主主義的で、賛成できるものである」と評価している(1959年にこの文書がみつかった)。ラウエルは同案を参照し、「幕僚長に対する覚書(案件)私的グループによる憲法草案に対する所見」を提出、これにコートニー・ホイットニー民政局長が署名し、いわゆる「ラウエル文書」が作成された。 古関彰一によれば、20世紀の間、この要綱が評価されなかったのは、GHQは日本政府組織を使って日本を間接統治していたため、組織外の憲法研究会を認めるわけにいかなかったという事情が長く影響したため、とされ、それが21世紀初頭ころからは反動から過剰な礼賛になっている、とされる。また、鈴木安蔵が日本国憲法の政府草案に対して、武力の不保持による平和の決意を絶賛しつつも非現実的とする論評をしたことも、古関は指摘している。
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