DSM-IV-TRにおける診断基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 00:07 UTC 版)
「解離性同一性障害」の記事における「DSM-IV-TRにおける診断基準」の解説
DSM-IVの編纂委員長アレン・フランセスは、解離性同一性障害の診断名自体を全面的に避けるよう推奨しており、暗示にかかりやすい人から複数の人格を引き出す医原性の障害と考えており、流行しては終止符が打たれることが繰り返されてきたからである。 親分類である解離性障害には解離性同一性障害(DID)の他に解離性健忘、解離性遁走、離人症性障害、特定不能の解離性障害がある。その内、離人症性障害、解離性健忘、解離性遁走はDIDの症状としても含まれる。一方DIDとほとんど同じようであっても、以下の基準を厳密に満たさないものは、次項の特定不能の解離性障害に分類される。ただし、どこで線を引くかは治療者によって異なる。アメリカ精神医学会 (American Psychiatric Association) の精神疾患の分類と診断の手引 (DSM-IV-TR) でのDIDの診断基準は以下の通りである。 A. 2つまたはそれ以上の、はっきりと他と区別される同一性 (identity) または人格状態 (personality states) の存在 (その各々はそれぞれ固有の比較的持続する様式をもち、環境および自我を知覚し、かかわり、思考する)。 B. これらの同一性 (identity) または人格状態 (personality states) の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制する。 C. 重要な個人的情報の想起が不能であり、普通の物忘れで説明できないほど強い。 D. この障害は物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)または他の一般的疾患(例:複雑部分発作)の直接的な生理的作用によるものではない。注:子供の場合、その症状が想像上の遊び仲間(イマジナリーフレンド imaginary friend)、または他の空想的遊びに由来するものではない。 旧基準DSM-III-Rでは上記のABのみであり、かつ「人格または人格状態」とされていたが、DSM-IV-TRでは「人格」を「同一性」に変更している処がもっとも大きな特徴である。他に十分説明のできる生理学的原因がある場合はこの疾患には含まれない。またイマジナリーフレンド(後述)は正常な範囲であり異状ではない。なおDSM次期改訂版(DSM-5)のために上記の診断基準のの変更が検討されている。
※この「DSM-IV-TRにおける診断基準」の解説は、「解離性同一性障害」の解説の一部です。
「DSM-IV-TRにおける診断基準」を含む「解離性同一性障害」の記事については、「解離性同一性障害」の概要を参照ください。
- DSM-IV-TRにおける診断基準のページへのリンク