高温ガス炉
別名:高温ガス原子炉、高温ガス冷却炉
英語:High Temperature Gas-cooled Reactor、High Temperature Gas Reactor、HTGR
水ではなくヘリウムを冷却材として使用し、同時に高温のヘリウムガスから熱を取り出すタイプの原子炉。炉は耐熱性に優れたセラミックスと黒鉛で覆われる。安全性の高い次世代の、原子炉として、2014年現在、研究開発が進められている。
従来の原子炉では、冷却水には主に水(軽水)が用いられている。万が一、炉内で炉心溶融が起きた場合、水は一気に沸騰して水蒸気爆発を起こす危険がある。高速増殖炉などでは金属ナトリウムが冷却材に使用されることがあるが、金属ナトリウムは非常に反応しやすく扱いが難しい。
高温ガス炉で用いられるヘリウムは、数百度の高温でも安定した状態を維持する。炉心もセラミックスおよび黒鉛といった超高温に耐える素材が使用され、高温で炉が溶融して外に漏れ出す危険がほとんどない。システムが不意に停止しても核分裂反応は安全に沈静化するという。
こうおんガス‐ろ〔カウヲン‐〕【高温ガス炉】
高温ガス炉
高温ガス炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 22:18 UTC 版)
高温ガス炉は一次冷却材に液体金属ではなくヘリウムを用いるガス直接冷却黒鉛炉である。大型化が困難であるが、非常に炉心溶融しにくい。高温ガス炉の特徴としては、多くの設計において黒鉛を減速材とし、以前のような燃料棒でなく、何らかの形式で皮膜された粒状の燃料の集合体を基にしているなど受動安全性が重視されていることが挙げられる。ガス冷却の場合、商業利用されている高温ガス炉(黒鉛減速ガス冷却炉)と互換性がある。超高温炉の中で、現在もっとも実用化に近い型式である高温ガス炉には二つのタイプがある。一方はペブルベッド炉(英語版)であり、もう一方は六角柱型炉である。六角柱炉は炉心の形状からその名がついており、六角柱の燃料集合体の炭素ブロックが円形の圧力容器に会うように組み合わされており、ペブルベッド炉の設計は核燃料を黒鉛で覆った仁丹状の燃料を集め、6 cm 程度の球にしたものを圧力容器中心部に積み上げたものである。両方の炉で、出力要求や設計にあわせて格納容器の中央に黒鉛の塔を入り輪にしたものもある。 なお、歴史上初めて臨界に達した原子炉も黒鉛炉(シカゴ・パイル1号)であるが、これは原子爆弾材料のプルトニウム239の生成用原子炉を設計するための実験炉として開発されたものである。
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