阿賀野川(アガノガワ)とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書

阿賀野川とは? わかりやすく解説

あがの‐がわ〔‐がは〕【阿賀野川】

読み方:あがのがわ

福島・新潟の両県にまたがって流れる川。猪苗代(いなわしろ)湖に源を発する(にっぱし)川と尾瀬沼発する只見(ただみ)川とが合流し新潟市東部日本海に注ぐ。長さ210キロ発電所が多い。


阿賀野川

日本一穀倉地帯潤す阿賀野川
阿賀野川は、栃木県藤原町福島県岩館村の境にある荒海山にその源を発し山間部から会津盆地入り猪苗代湖から流下する日橋川等の支川阿賀野川水系最大支川である只見川合わせて新潟県入ります以後五泉市馬下より新潟平野出て新潟市松浜において日本海に注ぐ、流域面積7,710km2流路延長210kmの河川です。

河口から上流を望む
河口から上流を望む

河川概要
水系阿賀野川水系
河川名阿賀野川
幹川流路延長210km
流域面積7,710km
流域内人59万人
流域関係都県新潟県福島県群馬県

阿賀野川流域図
○拡大図
1.阿賀野川の歴史
"阿賀野川の流水は、鉄道未発達時代には舟運による物資輸送路として利用されいましたまた、江戸時代松ヶ崎開削により現在の河口形成されその後改修工事により、米どころ新潟豊かな穀倉地帯安全にうるおしながら日本海注いでます。"

阿賀野川特有の歴史先人の知恵活用

藩政時代の阿賀野川
藩政時代の阿賀野川
藩政時代の阿賀野川
今から約270年前(江戸時代中期)までの阿賀野川は、河口部より西に折れて信濃川合流して日本海注いでいましたが、新発田藩水田開発目的とした分水路開削により、現在の阿賀野川の河口形成されました。開削当時洪水のみを日本海放流する目的でしたが、翌年融雪洪水により分水路本流化したものです。
大揚川船 (木村清氏所蔵)
大揚川船 (木村清所蔵
結果として阿賀野川下流域水田地帯として栄えることとなり、鉄道道路交通発達していなかった江戸明治時代には、新潟港から会津方面への物資輸送路として舟運大きな役割果たしきましたまた、長さ23mの大揚川船(おおあがわぶね)と呼ばれる帆船が阿賀野川を往来して活躍しました

明治以降の阿賀野川改修
明治1618年小規模補強工事等が実施されましたが、阿賀野川のその後幾度となく洪水見舞われました。特に大正2年木津切れの大洪水は、亀田郷一帯新潟市付近の低平地)を水の底に沈め被害発生しました。その木津切れが本格的な改修契機となり、第一期改修大正4年昭和8年)、戦後第二期改修昭和22年~現在)と河道整正築堤護岸など本格的な工事着手し、現在に至ってます。新潟平野は阿賀野川等の河川氾濫してできた堆積平野であり、現在の美田は、かつて多く人々水害たたかい築き上げてきたものです。

伝統工法の〝粗朶沈床工〟(そだちんしょうこう)
粗朶沈床工 (組立)粗朶沈床工 (据付状況)
粗朶沈床工 (組立据付状況
阿賀野川では、明治初期オランダ人技師より伝えられ粗朶里山雑木から伐採した木の枝)を利用した伝統工法今でも受け継がれています。地域調達可能な素材活かした粗朶工法様々な水生生物魚類などの生息空間をつくり出しています。
2.地域の中の阿賀野川
"阿賀野川下流部広大な高水敷有しており、多く農地公園グラウンドなどに利用されています。また、上流部山間渓谷部の景勝地として県立公園にも指定され多く観光客で賑わうなど、上~下流各地において住民から利用され地域なくてはならない役割担ってます。"

地域社会とのつながり

大河」阿賀野川の恵み
阿賀野川流域豊富な降水量恵まれ水量豊かな川であるとともに、自然豊かな清流として知られています。
阿賀川呼ばれる上流会津地方は、日本水力発電さきがけとなった地方であり、下流新潟県内流れる阿賀野川は、かんがい用水等に広く利用され日本一米どころ新潟平野築いてきました

 高水敷を利用したイベント
高水敷利用したイベント
 高水敷の公園 (阿賀野川緑地公園)
高水敷公園 (阿賀野川緑地公園
広大な河川空間利用
阿賀野川は高水敷農地利用大規模に行われている一方で川岸には自然植生残されており、豊かな広大な河川空間おりなす景観は、他の河川には見られない特徴あります
下流部高水敷広大な面積有しており、民有地含めその66%の面積農地公園運動場等に利用されています。
そのうち公園運動場として利用されているところは約1割で73haにも及び、休日河川公園では各種イベントスポーツ大会レクレーションなどで賑わう姿が多く見られます。特に、新潟市にある阿賀野川緑地公園は、20haの面積を持つ大規模総合運動公園として市民利用されています。


清流荒川
水面利用様子
今後水面利用のむけて
阿賀野川及び信濃川下流域においては水の都新潟相応し舟運復活させる市民運動高まり水上オートバイ活動等活発化プレジャーボート保有化が進みつつある状況あります
今後さらに増大予想される水面利用者への多様なニーズ把握し適正な船舶利用にむけて、安全な水面利用通航ルール策定進めてます。
3.阿賀野川の自然環境
"阿賀野川の川辺には、上流部石礫河原から中流部蛇行区間湿地下流の広いヨシ原砂州など、川の流れ応じた様々な水辺自然環境残されており、それぞれの環境適応した多様性富んだ生物生息してます。"

多様性富んだ自然環境

自然が多く残る水辺空間(下流部)
自然が多く残る水辺空間下流部
阿賀野川の自然
新潟平野流れる阿賀野川の川幅下流部では1kmにもおよび河川敷にはヤナギヨシヒメガマなどの水辺植物群落広がってます。 このように水辺の自然が多く残されていることから、鳥類昆虫類魚類など様々な生物大切な生息場所となってます。

河口部下流部
河口砂浜にはケカモノハシコウボウムギハマヒルガオウンランなどの海浜植物群落のほか、ハマヤガ、ハマベウスバカゲロウのような海浜砂地だけに生息する昆虫分布してます。また河口右岸の池には、全国的にみても珍しいオオモノサシトンボ生息してます。下流部岸辺にはヒメガママコモヨシなどの抽水植物大きな群落形成し、これらに囲まれ流れ緩やかな水域は、コイギンブナイトヨなどの産卵稚魚生息場所ともなってます。また、中州ヤナギエノキなどからなる樹林には、ゴイサギ・アマサギ・チュウサギなどサギ類のコロニー集団繁殖地)が形成されています。

中流部上流部
瀬や渕など多様な水辺空間(中流部)
瀬や渕など多様な水辺空間中流部
中流蛇行部にできた湿地にはヨシオギ大群落が広がりヤナギオニグルミ多くみられます。河川敷の池やその周辺湿地は、ミクリタコノアシなどの稀産の植物見られるほか、イトトンボ類やチョウ類などの生息場所ともなっていて、阿賀野川河川敷だけで4050種ほどのチョウ類が確認されています。また、流れのある中~上流区間では魚類ウグイオイカワアブラハヤなどが多くなり、ヤマメカジカなどの河川の上流域分布する魚類見られます。


多種多彩な生き物宝庫
阿賀野川の河辺には、上流石礫河原から中流蛇行区間湿地帯下流の広いヨシ原水面砂州など、広大な流れ応じた様々な水辺自然環境残されており、それぞれの環境適応した多種多彩な生き物生息してます。
4.阿賀野川の主な災害

阿賀野川の主な災害

発生原因被害状況
昭和31年7月17日 梅雨前線床上浸水2,589戸、床下浸水8,527戸、全壊流出120戸、半壊流出104戸、農地浸水10,203ha
昭和33年9月18日台風21号負傷者2名、床上浸水1,231戸、床下浸水1,128戸、全壊流出110戸、半壊流出160戸、農地浸水1,870ha
昭和53年6月27日梅雨前線床上浸水2,176戸、床下浸水5,572戸、全壊流出4戸、農地浸水11,027ha
昭和56年6月22日梅雨前線床上浸水194戸、床下浸水1,138戸、農地浸水2,791ha
昭和57年9月12日 台風18号家屋全半壊流失1戸、家屋浸水306戸、農地宅地浸水490ha

(注:この情報2008年2月現在のものです)

阿賀野川

読み方:アガノガワ(aganogawa)

所在 福島県新潟県

水系 阿賀野川水系

等級 1級


阿賀野川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/12 01:59 UTC 版)

阿賀野川(あがのがわ)は、福島県に源流を持ち、新潟県を流れ日本海に注ぐ日本の河川。国が指定した一級水系阿賀野川水系の本流であり一級河川に指定されている。


注釈

  1. ^ 阿賀野川河川事務所は、一級河川阿賀川下流の傾斜地を一部砂防管理している。阿賀川河川事務所とは国が管理する一級河川阿賀川での一部管理業務(残りは福島県管理)を分け合う関係である。
  2. ^ 小阿賀野川の上流部分に阿賀野川があり、そのため小阿賀野川が流れ込む下流の信濃川河口は阿賀野川の河口の1つにあたる[3]。満願寺閘門と小阿賀樋門で極端に高低の異なる水面を行き来できるようにしている。
  3. ^ 分流後に一級河川信濃川水系へ注ぐ一級河川小阿賀野川は、行政管理上は信濃川合流部まで信濃川水系に属す
  4. ^ 一級河川小阿賀野川は一級河川信濃川水系に所属する。行政で管理されない普通河川のみ水系には含まれていない。
  5. ^ 当時は沼沢沼と呼ばれた。

出典

  1. ^ 一級河川阿賀川 国交省 [リンク切れ]
  2. ^ 阿賀野川水系と一級河川阿賀野川 国交省 [リンク切れ]
  3. ^ 小阿賀野川 [リンク切れ]
  4. ^ 川のQ&A Answer”. 日本河川協会. 2019年9月6日閲覧。
  5. ^ 阿賀川とあいづとのかかわり”. www.hrr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。 [リンク切れ]
  6. ^ 阿賀川の歴史(近代) 国土交通省北陸地方整備局 阿賀川河川事務所 [リンク切れ]
  7. ^ 第1回 阿賀川掘削土対策検討委員会 津尻地区掘削工事の概要 平成18年8月10日 阿賀川河川事務所 郡山国道事務所] (PDF) [リンク切れ]
  8. ^ a b c 水土の礎:阿賀野川右岸農業水利事業”. 農業農村整備情報総合センター. 2020年7月15日閲覧。
  9. ^ 福島県土木部のダム 福島県
  10. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、55頁。ISBN 9784816922749 


「阿賀野川」の続きの解説一覧

阿賀野川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 08:50 UTC 版)

只見特定地域総合開発計画」の記事における「阿賀野川」の解説

阿賀野川ではすでに新郷山郷豊実鹿瀬四発電所・ダム戦前建設されていたが、戦後発電所建設進められた。 上野尻ダム上野尻発電所出力5万2000キロワット)は山郷発電所豊実発電所の間、磐越西線上野尻駅付近に建設された。両発電所の間にある未使用落差有効に利用するために建設され1959年6月完成した。そして只見特定地域総合開発計画建設されダムの中で最も下流建設されたのが揚川ダム・揚川発電所出力5万3600キロワット)で1963年昭和38年)に完成する。このダム上流にある全発電所水量調整し、阿賀野川下流水量一定に保つための逆調整池として建設されたが、ダム集水面積が約6,728平方キロメートル広大であるため、莫大な水量制御するため横一列水門が並ぶタイプ重力式コンクリートダムである。こうしたタイプダムとしては他に船明ダム天竜川静岡県)、池田ダム吉野川徳島県)、夜明ダム筑後川福岡県大分県)があり、何れも河川建設されダム群の中では最下流部に位置している。

※この「阿賀野川」の解説は、「只見特定地域総合開発計画」の解説の一部です。
「阿賀野川」を含む「只見特定地域総合開発計画」の記事については、「只見特定地域総合開発計画」の概要を参照ください。

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阿賀野川

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 03:06 UTC 版)

固有名詞

(あがのがわ)

  1. 福島新潟流れる川。

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