キネティクス
(速度論 から転送)
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キネティクス(Kinetics)とは一般に、日本語では速度論(そくどろん)と訳され、時間による変化に関する研究分野のことをいうが、次のような異なる意味で用いられる。
- 1 キネティクスとは
- 2 キネティクスの概要
速度論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 17:55 UTC 版)
2つの重要な速度論的性質によって、グルコキナーゼは他のヘキソキナーゼと区別され、グルコースのセンサーとしての特別な機能が可能となっている。 グルコキナーゼは他のヘキソキナーゼよりもグルコースに対する親和性が低い。グルコキナーゼは、生理学的に重要な4–10 mM(72–180 mg/dL)の範囲で、グルコース濃度の上昇とともにコンフォメーションまたは機能の変化が生じる。約8 mM(144 mg/dL)のグルコース濃度で半飽和となる。 グルコキナーゼは反応産物であるグルコース-6-リン酸によって阻害されない。この性質のため、反応産物が多く存在する条件下でもシグナルの出力(インスリン放出の誘導など)を継続することができる。 これらの2つの特徴によって、基質の供給量によって代謝経路を調節することが可能となる。すなわち、最終産物の要求量ではなく、グルコースの供給量によってグルコキナーゼの酵素反応の速度は決定される。 グルコキナーゼの他の特徴としては緩やかな協同性が挙げられ、ヒル係数(nH)は約1.7である。グルコキナーゼにはグルコースの結合部位が1つしか存在せず、基質協同性を示す唯一の単量体酵素である。協同性は、異なる反応速度を持つ2つの酵素状態間の「緩やかな転移」を伴う過程によるものであると想定されている。優勢な酵素状態がグルコース濃度に依存して変化する場合には、観察されているような見かけ上の協同性が作り出される。 この協同性のため、グルコキナーゼのグルコースとの速度論的相互作用は典型的なミカエリス・メンテン型の速度論には従わない。そのため、グルコースに対するKm値よりも、酵素の50%が飽和して活性状態となる濃度である半飽和濃度S0.5を記述する方が正確である。 グルコース濃度の関数として酵素活性を記述した際、その曲線の「変曲点」の濃度はnHを1.7とすると約4 mMである。言い換えれば、グルコース濃度の生理的正常範囲の下限付近である約72 mg/dLの濃度において、グルコキナーゼの活性はグルコース濃度の小さな変動に対し最も感度が高くなる。 もう一方の基質であるMg-ATPとの速度論的関係は典型的なミカエリス・メンテン式によって記述され、親和性は約0.3–0.4 mMで一般的な細胞内ATP濃度2.5 mMよりも十分に低い。ほぼ常に過剰なATPが存在していることは、ATP濃度がグルコキナーゼの活性に影響を与えることはめったにないことを意味している。 双方の基質が飽和しているときのグルコキナーゼの最大比活性値または回転数(kcat)は62 s−1である。ヒトのグルコキナーゼの至適pHは最近になって特定され、pH 8.5-8.7と驚くほど高いことが示された。 グルコースの結合部位は、複数のシステイン残基のスルフヒドリル基に囲まれている。これらのシステイン残基はCys230を除いて触媒過程に必須であり、酸化に伴って複数の分子内ジスルフィド結合が形成されてグルコキナーゼは不安定化される。膵臓β細胞では、活性型グルコキナーゼと不活性型との比は、少なくとも部分的には、スルフヒドリル基の酸化とジスルフィド結合の還元とのバランスによって決定されている。
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速度論
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「アリールジアルキルホスファターゼ」の記事における「速度論」の解説
提唱されている反応速度論に関するモデルでは、酵素(E)と基質(S)の間で起こる可逆的な結合段階が含まれ、ミカエリス複合体(ES)が形成される。続いて不可逆的段階が起こり、P-O結合が切断されて一過的な酵素-反応産物複合体(EP)が形成される。最後に、反応産物(P)が放出されて酵素(E)が再生される。
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速度論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:41 UTC 版)
化学吸着は吸着の一種であるから、吸着の過程に従う。 最初の段階では吸着質粒子が表面と接触する。粒子が表面に捉えられるためには、気体-表面井戸型ポテンシャルを超えるエネルギーを持っていないことが条件となる。もし粒子が表面と弾性衝突をする場合、粒子はバルク気体へと戻っていってしまう。しかし、非弾性衝突により十分な運動量を失った場合、粒子は表面に「くっつき」、物理吸着のように表面と弱く結合した前駆状態を生じる。粒子は表面上に拡散し、ポテンシャル井戸の深い化学吸着サイトを見付けるとそこで表面と化学反応を起こし、さもなくば時間と共に十分なエネルギーを得て単に脱着する。 表面との反応は関与する化学種によって異なる。反応に関するギブズエネルギー(英語版)の公式 Δ G = Δ H − T Δ S {\displaystyle \Delta G=\Delta H-T\Delta S} を適用すると、熱力学的に定温定圧条件下で反応が自発的に進行するためには自由エネルギー変化が負である必要がある。自由粒子が表面に捉えられる場合、表面原子が非常に高い移動度を持ってでもいないかぎり、エントロピーは低下する。したがって、エンタルピー項が負でなくてはならず、反応は発熱反応であることが要求される。 物理吸着がレナード・ジョーンズポテンシャルにより良く記述されるのに対して、化学吸着はモースポテンシャルにより良く記述される。物理吸着と化学吸着には交差点があり、したがって転移点が存在する。転移はゼロエネルギー線よりも上で起こる場合も下で起こる場合もあり、これは活性化エネルギーが必要であるか否かを表わす。ほとんどの単純気体と清浄金属表面の場合は活性化エネルギーは必要がない。
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