あし‐あと【足跡】
読み方:あしあと
そく‐せき【足跡】
足跡
足跡
足跡
足跡
足跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/09 07:03 UTC 版)
足跡(あしあと)とは、人や動物が土、雪、ドロなどの上を歩いたあとに残る足の形。足跡(そくせき)と読めば、人の経歴や業績などを指す言葉となるほか、人に限った足の跡・様々な痕跡・通った経路(足取り)などを指す意味合いにもなる。また警察において「犯人の足跡」を指す言葉として、下足痕(げそこん)がある[1]。
また、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなどにおける訪問者のログを指す言葉として、「足跡・あしあと(機能)」がある。
概説
足跡は、人間や動物の歩いた後に、その足を乗せた場所と形が残っているものを指す。そのあり方には2通りがあり、一つは足を乗せた場所がその形にくぼむものである。これは柔らかい基盤上に生じ、水を吸った泥や砂、あるいは雪の上にはっきりと残る。森林土壌のように荒い基質の場合、おおざっぱな輪郭だけが残る。
もう一つは、泥など足の裏にこびりつく素材の上を歩いた後に、硬い基質の上を歩いた場合、その泥などの跡が印章として残されるものである。
いずれにせよ、足跡は、普通はある程度以上大きな動物によってのみ残される。ただし、寒天培地上で微生物の培養をすると、往々にしてコナダニが発生するが、これが歩いた足跡にバクテリアが繁殖するので足跡として視認できるようになる例がある。おそらく最小の足跡と思われる。
また、水中では足跡は残らないことが多い。水の運動で表面が攪乱されるからである。そのため、水からはい出した動物の足跡は水面より上から始まる。このことから、かつてウミサソリ類の足跡が途中からだけ続いている化石が見つかり、水からはい出した足跡と判断されたものがある。
人間の足跡
現代人の足跡も、真剣な調査の対象となる。何らかの事件が発生し、現場に足跡が残されていた場合、足跡は事件の犯人を探るための重要な情報源となるため、鑑識によって慎重な鑑定が行われる(前述したようにこの場合、警察では足跡のことを“ゲソ痕“と呼ぶ)。鑑定された足跡は、裁判においてひとつの証拠として取り扱われ、裁判の行方に影響を与える。国家公安委員会によって足跡取扱規則(昭和54年5月17日国家公安委員会規則第6号)なるものも定められている。 指紋の跡は手袋をはめる等して消すことができるが、足跡は必ず残る点が指紋と大きく異なる。履いている靴の種類はもちろん、現在の調査では足跡から対象者のおおよその体型も判別できる。
重合法、指摘法、計測法などの鑑定法があり、履物についた固有の特徴(使用特徴、製造特徴など)から使用された履物や犯人の特徴を鑑定する[2]。
推理小説でもシャーロック・ホームズの頃からすでに足跡は重要な証拠として扱われ、彼が足跡をみて推理を展開するシーンは見所の一つにもなっている。また、足跡をごまかしたり、誤認させるためのトリックを扱った作品も多い。
- 指紋
- 手の指紋と同様に、足にも指紋があり、個人特定に用いられる。乳児の識別に取る場合がある。また、軍隊などの航空機の乗員が航空事故にあった場合は、手よりもフライトブーツに守られた足の方が指紋が残りやすく、足から身元を特定するのに登録している場合がある。
動物の足跡
動物の足跡は、いわゆるフィールドサインの代表的なものである。猟師は発見した足跡から、獲物の種類、大きさなどを見極め、行動を決める際の重要な手がかりとする。また生態学者はフィールドワークの最中に発見した足跡を、対象地域に生息する生物の種類や数、活動範囲などを見積もるための貴重な情報源として利用する。足跡からは、それをつけた動物の種類、大きさ、運動の方法(走ったか歩いたかなど)、移動方向、それがその場にいた時間等の情報が得られる。
足跡はまた、それをつけた動物を追跡する際のもっとも重要な手掛かりである。これは動物間であっても同じで、肉食動物は獲物の足跡を追いかける。草食動物は、これを避けるために、意図的に足跡を暗ます手段を講じる場合がある。
ねこや狐、狼などは、後ろ足を前足の足跡の位置に置くことで、安全な足場の確認、雪を踏む負担の軽減などを行っている。そのため、足跡は少なく、一直線上に連なった足跡を残しやすい。
- ギャラリー
足跡の化石
足跡は普通、時と共に消えてしまうが、中には様々な偶然の重なりにより化石化して数千万年以上も残ることがある。こうした足跡の化石は古生物学の世界で生痕化石と呼ばれているものの一つで、現存しない生物の生態を探るための重要な資料として真剣な研究の対象となっている。たとえば恐竜の足跡からは、恐竜がどのように歩いたかに関する重要な情報が得られる。
- ティラノサウルスの足跡
- アメリカ合衆国コロラド州にある国立公園内のDinosaur Ridge
- スペインラ・リオハ州で見つかった恐竜の足跡
- 東京国立科学博物館の展示ラエトリの猿人足跡化石(レプリカ)
- 節足動物の這跡化石(Protichnites)
足跡による撹乱
戦場では敵方に足跡を追跡されると作戦行動の失敗につながりかねないため、足跡を利用した撹乱行動がある。例として、足跡から部隊人数を割り出されないように二列になり、足跡を重ね踏みしたり、時間的余裕があれば、一度通った道を後ろ向きで歩いて引き返し、あたかもその道を通ったように装い、敵方を別の場所へ誘導させる場合もある(時間稼ぎが多々だが、罠を仕掛ければ、兵力も削れる)。
兵法書の『闘戦経』には、「将に胆ありて軍に踵(きびす)なきものは善なり」と記述されており、主将に胆力があれば、戦場に余計な踵=足跡は残さないとしているように、無闇に戦場で足跡を残すことは優秀ではないとしている。
武術の型などでは、足跡から相手がどのような動きをしたかが判別されてしまうため、型が終わった際は、他流派に見られぬよう、足跡をかき消す行動がとられる(いわゆる歩幅・間合いがわかってしまうため)。
伝説・著名人の足跡
- 仏足石
- 悪魔の足跡
- 月には最初に月に降り立ったアポロ11号の船長ニール・アームストロングの足跡が大気による風化がないことから残っている。
- グローマンズ・チャイニーズ・シアター - ハリウッドに所在する劇場。シアター前には俳優などの手形と足跡がタイルとなった道がある。
脚注
- ^ 警察略語 聞き取り辞典 TBSテレビ:日曜劇場『S-最後の警官-』
- ^ 忠嗣, 原「足跡鑑定における特徴の質的評価とその証拠価値」『日本鑑識科学技術学会誌』第9巻第1号、2004年、59–63頁、doi:10.3408/jasti.9.59、2022年7月8日閲覧。
参考文献
- 入間市博物館 『アケボノゾウの足跡』
関連項目
足跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:18 UTC 版)
複数の足跡化石の纏まりがガストルニスのものであると推察されている。1つの足跡群がイル=ド=フランス地域圏ヴァル=ドワーズ県モンモランシーの後期始新世に相当する石膏から、別の足跡群がパリ盆地の他の場所から、1859年以降の19世紀中に報告された。ジュール・デノワイエ(英語版)が最初に、アルフォンス・ミルヌ=エドワールが後に記載したこの足跡化石は19世紀後半のフランスの地質学者に周知されるものとなった。これらは関連する骨が発見されていなかったため、チャールズ・ライエルの著書 Elements of Geology で化石記録の不完全性の例として議論された。残念ながら、皮膚構造まで細かく保存されていたこれらの優れた標本は現在では失われている。標本はデノワイエが研究を始めたときにフランスの国立自然史博物館に運び込まれ、最後に文書化されたのは1912 年に開催された国立自然史博物館の地質学展示会についての記録であった。これらの足跡のうち最大のものは、後趾1本の印象のみで構成されているものの、長さ40センチメートルに達した。パリ盆地由来の大型の足跡も、さらに2000万年古い南フランスの卵の殻と同様に、巨大なものと単に大きなものに分けることができる。 もう一つの足跡の化石記録は現存する1つの足跡から構成されているが、それはさらに物議を醸すものであることが証明されている。この化石はワシントン州ブラック・ダイアモンド(英語版)周辺のグリーン川の谷の上部始新統に相当するピュージェット層群(英語版)の岩石中に発見された。この発見の後、足跡化石は1992年5月から7月にかけてシアトル地域で大きな関心を集め、シアトル・タイムズ紙に少なくとも2本の長い記事が掲載された。本物か偽物か様々に言われた鳥の足らしいこの1つの印象化石は生痕化石タクソン Ornithoformipes controversus として記載された。幅は27センチメートル、長さは32センチメートルに達し、第一趾はなかった。この足跡化石の記載から14年後、この標本の真偽についての議論には決着がついていなかった。標本は2006年現在ウェスタン・ワシントン大学(英語版)が所蔵している。 これらの初期の痕跡化石の問題は、ガストルニスの化石で約4500万年よりも新しい化石が見つかっていないことである。謎の多い "Diatryma" cotei は、年代を正確に決定することができなかったものの、パリ盆地の足跡とほぼ同程度に古い地層から知られている。一方北米では、明確なガストルニス類の化石記録はヨーロッパよりもさらに早く終わっているようである。しかし、2009年にワシントン州ベリンハム近くで発生した地滑りにより、始新統のChuckanut累層の15ブロックに少なくとも18個の足痕が露出した。足痕の年代は約5370万年前とみられ、さらにその解剖学的特徴から、足跡を残した動物がガストルニスであることが示唆された。これらの鳥類は捕食者あるいはスカベンジャーであると長らく考えられていたが、猛禽類のような鉤爪がないことから彼らが植物食性であったという先の提言が指示された。Chuckanutの足痕は生痕化石タクソン Rivavipes giantess と命名され、絶滅したガストルニス科に属すると推論された。足跡化石のうち少なくとも10個はウェスタン・ワシントン大学に展示されている。
※この「足跡」の解説は、「ガストルニス」の解説の一部です。
「足跡」を含む「ガストルニス」の記事については、「ガストルニス」の概要を参照ください。
足跡
「足跡」の例文・使い方・用例・文例
- 彼らはその足跡を追って森の中へ入って行った
- 足跡
- ルイ・アームストロングはジャズ音楽に不滅の足跡を残した
- 床に足跡が付いていた
- 彼らは正体不明の足跡を沼地までたどった
- 猟師はクマの足跡を追った
- それが歴史に多くの足跡を残しています
- すすだらけの床の上に、いくつもの足跡がある。
- この足跡は熊のものに違いない。
- この足跡は彼のものに違いない。
- この足跡は何だろうと推察した。
- 私はその足跡を追って数十メートル歩いた。
- ぱたぱたと足跡を立てて、エントランスへと駆けてゆく。
- 猟師は熊の足跡をたどった。
- 彼らは雪の中に熊の足跡を見つけた。
- 犯人は足跡を残していた。
- 足跡は川まで続いていた。
- 足跡が床に残っていた。
- 雪の中に彼の足跡がはっきりとついていた。
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