赤泥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 16:08 UTC 版)
「ハンガリーアルミニウム赤泥流出事故」の記事における「赤泥」の解説
今回の事故を引き起こした赤泥はバイヤー法によってボーキサイトをアルミナ(酸化アルミニウム)へと精製した際の廃棄物である。アルミニウムはボーキサイトを粉状にし、バイヤー法により水酸化ナトリウムを加えて溶かしアルミン酸ナトリウム溶液とした後、水酸化アルミニウムを沈殿させて回収されるのであるが、その溶解残滓が今回流出した汚泥である。赤泥はボーキサイト中の不純物の大部分を含んでおり、赤い色は主成分である水和酸化鉄(III)に由来する。赤泥の主な成分を下表に示す。 化合物含有量備考Fe2O3 酸化鉄(III) 40–45% 泥の赤色の原因 Al2O3 酸化アルミニウム 10–15% SiO2 二酸化ケイ素 10–15% ナトリウム・カルシウムアルミノケイ酸塩として存在 CaO 酸化カルシウム 6–10% 水と反応すると水酸化カルシウムとなり、塩基性を示す。 TiO2 二酸化チタン 4–5% Na2O 酸化ナトリウム 5–6% 水と反応すると水酸化ナトリウムとなり、非常に強力な塩基性を示す。 この汚泥には先述の水酸化ナトリウムが混じっており、生成直後は強い塩基性を示す。廃液貯留池にはこの汚泥約3000万トンが貯蔵されていたと考えられている。初期調査によれば、EUの環境基準を超える汚染物質は検出されなかったものの、赤泥のpHは13であった。この汚泥が皮膚に触れると、その高い塩基性のために薬傷を負う。また、 グリーンピースによると採取された赤泥には乾燥重量で110ppmのヒ素、1.3ppmの水銀、660ppmのクロムが含まれていたと言う。
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