賭け事
★1a.鬼と賭け事をして勝つ。
『長谷雄草子』(御伽草子) 見知らぬ男が中納言長谷雄に双六の勝負を挑む。男は絶世の美女を、長谷雄は財宝をそれぞれ賭け物にして、朱雀門の上で双六を打つ。男は形勢不利になり、興奮して鬼の正体を現す。長谷雄はかまわず打ち進め、勝利を収める。
『第七の封印』(ベルイマン) 十字軍の騎士の前に、死神が現れる。騎士は死神にチェスの勝負を挑み、「私が勝ったら見逃してくれ」と請う。死神は承知して、騎士とチェスをする。死神が勝ち、騎士は負ける。死神は、騎士とその妻・従者・鍛冶屋夫婦など数人を、死の世界へ導く。彼らは手をつないで一列になり、死神に連れられて丘の上を歩いて行く。
★1c.死神と賭け事をして勝つ。
『午後の出来事』(星新一『おせっかいな神々』) 青年が、見知らぬ黒服の男とトランプのゲームをして勝つ。黒服の男は負けを認め、青年が持っていた演奏会の入場券を取り上げ、破り捨てる。青年は演奏会に行けなくなったので怒る。その夜、演奏会の最中に照明装置が、青年のすわるはずだった席に落ちる。青年は、黒服の男(=死神)とのトランプに勝ったから、命拾いしたのだった。
『マハーバーラタ』第2巻「集会の巻」 クル家の百人兄弟の長男ドゥルヨーダナは叔父シャクニと謀って、パーンドゥ家の5人兄弟の長男ユディシュティラを賽子(さいころ)賭博に招く。賽子の達人シャクニのためにユディシュティラは負け続け、ついに自分の治める王国を失う。ユディシュティラは、4人の弟(ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァ)及び彼ら5人の共通の妻ドラウパディーとともに、追放される。彼らは、森で12年間の放浪生活を送る。
『マハーバーラタ』第3巻「森の巻」 魔王カラは、ナラ王がダマヤンティ姫の婿になったことを憎み、ナラ王の弟プシュカラをそそのかしてナラ王と賽子賭博をさせる。ナラ王は賭に負け、王国も財産も失う。彼は着の身着のままで妃ダマヤンティとともに王宮を出て、森をさまよう〔*物語の最後でナラ王はもう1度プシュカラと賭をして、王国を取り戻す〕。
『嵐が丘』(E・ブロンテ) アーンショー家に拾われた孤児ヒースクリフは、長男ヒンドリーに虐待された。10代の末頃にヒースクリフは家出し、3年後に立派な紳士となって戻って来る。ヒースクリフはヒンドリーを博打に誘い、ヒンドリーは博打に負け続けて、家も土地も失う。ヒンドリーの病死後、その息子ヘアトンは、ヒースクリフの召使にされてしまう。
『本朝二十不孝』(井原西鶴)巻3-2「先斗に置いて来た男」 投機で財を成した八五郎は吝嗇だったが、ある時、加留多(カルタ)の勝負に1度に20両を賭ける。人々が驚くと、「即座に2倍儲かる商売は他にない」と言って、以後は博奕にふける。しかしその道の玄人の手玉に取られて、身代をすっかり失う。
『スペードの女王』(プーシキン) トランプの必勝法を知る老伯爵夫人に、その秘密を教えるよう工兵士官ゲルマンが強要し、老伯爵夫人は恐怖の余り死ぬ。葬儀の夜、老伯爵夫人がゲルマンの枕元に立ち「3、7、エースの順に賭ければ勝つ」と告げる。その通りにしてゲルマンは途中まで勝つが、最後に引いたエースがスペードの女王に変わり、老伯爵夫人に似た顔で笑う。ゲルマンは発狂する。
『魔術』(芥川龍之介) 「私」は欲を捨てる約束をして、印度人ミスラ君の家で魔術を習う。1ヵ月後、「私」は倶楽部で友人たちと骨牌(トランプ)をし、全財産を賭けた勝負を挑まれたため、魔術を使って勝つ。そのとたん骨牌のキングが笑い、「私」はミスラ君の家にいることに気づく。1ヵ月経過したと思ったのは、ほんの2~3分間の夢だった。
『東坡志林』(蘇軾)「道人の戯語」 道人が寺でいろいろなマジナイの秘法を売っており、その中に「賭博に絶対負けぬ法」と記した封筒があった。若者がそれを千金で買い、帰ってから開けて見ると、「賭博をするな」と書いてあった〔*当たり前のことが書いてあった、という点で→〔旅〕6aの『古代の秘法』(星新一)と類似の発想〕。
『遊仙窟』(張文成) 旅人の「私」は、17歳の寡婦・崔十娘(じゅうじょう)の屋敷に一夜の宿を請い、手厚くもてなされた。「私」は十娘に双六の勝負を挑み、「伏床(ふしど)を賭けましょう」と提案する。「十娘さまが負けたら、私と同じ床で一晩いっしょに寝ていただきます。私が負けたら、十娘さまと同じ床で一晩いっしょに寝ましょう」。十娘は「ずいぶんお上手なお考えですわ」と笑った→〔一夜妻〕1。
『子不語』巻3-75 賭博好きの李某は、重病で死に瀕しながらも「丁だ、半だ」とわめき、「陰司の賭神と勝負しているのだ」と言った。「紙銭1万を焼けば、俺は生き返らせてもらえるだろう」と言うので、家人はそれを信じて紙銭を焼いたが、李は死んでしまった。ある人が言った。「李は、あの世で博打(ばくち)を打つために、紙銭1万を騙し取ったのだ。もともと娑婆に戻る気はなかったのさ」。
*ロシアン・ルーレットによる賭け→〔ロシアン・ルーレット〕3の『ディア・ハンター』(チミノ)。
賭博
賭け事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 03:42 UTC 版)
擦る - 負けて損するのを忌み嫌い、「擦る」を「当たる」と言い換える。
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「賭け事」の例文・使い方・用例・文例
- 父は決して賭け事をしなかった
- ジョンの賭け事で家族は悩んでいる
- 奥さんに知られずに彼は賭け事をしていたのだった
- 多くの競馬の賭け事師たちがバーのテレビに釘付けになっていた。
- 彼は賭け事で財産を食いつぶした。
- 彼は賭け事で貯金を使い果たした。
- 彼は財産を賭け事に浪費した。
- 彼に破滅をもたらしたのは賭け事だった。
- 賭け事のために彼は破滅した。
- ラスベガスの賭け事は本当に楽しかった。
- 僕は賭け事は嫌いだ.
- もう二度と賭け事はしませんと言う口の下から, 百万円賭けてもいい, 僕は必ず約束を守るから, と彼はほざいた.
- 賭け事にうつつをぬかして商売に身が入らない.
- 賭け事を伴う、一人遊びのゲームの種類
- 賭け事をする貴族の自堕落な振る舞い
- 賭け事をする男
- 賭け事の好きな紳士淑女
- 取り付かれたように賭け事をすること
- 賭け事に負けること
- 賭け事で負けること
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