請願の手続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 14:15 UTC 版)
・請願法 請願の一般的な手続については請願法が定めている。請願は、住所氏名を記して、所轄の官公庁(不明な場合は内閣)に書面で提出しなければならない(請願法第2条、第3条)。 国会法・衆議院規則・参議院規則 国会の各議院(衆議院・参議院)に対する請願は国会法(第79条-第82条)、衆議院規則、参議院規則に定めがある。 国会の請願は、議員の紹介によってなされなければならず、委員会の審議を経て議院によって採決される。採択されたものは内閣に送付される。内閣はその処理について国会に報告しなければならない。 請願法について、「国会への請願及び地方議会への請願は、請願法の適用はない」(中島正郎『新訂 請願・陳情ガイドブック』119頁)、「請願法第1条には「別に法律の定める場合を除いては」という意味は、地方自治法第124条に該当するので、議会への請願に関しては、請願法の適用はないのは明らか」(同135頁)とされるが、請願法の義務規定が排除されると対極の権利も無となり請願は権利でなくなる、との異論もある。 ・行政手続法 請願権を行使する手続きは行政手続きであり、一般法としては行政手続法が適用される。これに関する論説はない。 地方自治法地方公共団体の議会に対する請願は地方自治法に定めがある。 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない(第124条)。 この「議員の紹介」が議員の権利であるか義務であるかについては議論があり、「請願紹介権であり、議員の地位に基づく固有の権利である」(野村 稔『地方議会実務講座』277頁)とされ、「請願の内容に賛意を表するものでなければ紹介すべきものでない」(昭和24年行政実例)(中島正郎『新訂 請願・陳情ガイドブック』164頁)、「請願の内容に賛同できない議員が、その紹介議員となることは許されない」(全国町村議会議長会編集『議員必携第8次改訂新版』273頁)されるが「紹介議員は必ずしも請願の趣旨に賛成する者である必要はない」(鵜沼信二『地方議会実務講座』105頁)ともされる。拒否権があるとすれば、明治憲法の請願における検閲と同様ではないか、との異論もある。「議員の紹介」は公務であるから当該公務を行う公務所の所在が問われるが不明であり、これに関する論説はない。 普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる(第125条)。 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(旧監獄法第7条)旧監獄法第7条は在監者の情願について定めていた。この旧監獄法第7条の手続は請願の一種と解されていた。監獄法はのちに刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律に改題され、2007年に新たに刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が制定された。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律は第166条以下に苦情の申出の規定を設けている。
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