談合とカルテル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/20 06:44 UTC 版)
EU法体系においてカルテルは欧州連合の機能に関する条約第101条において禁止されている。この第101条は2つの段落にわたって競争法の対象を事業または事業体 (undertaking) の協定という用語を使って示している。この事業体という用語は、ほぼすべての人が経済活動をおこなってはいるが、労働者はその性質上、事業体とは経済的あるいは商業的に反対の位置で独立した活動を行うため、経済活動を行う者から除外するために用いられており、同様に社会の利益のため行政が責任を負う公共事業に従事する公務員も除外されている。事業体による事業とは協約で結ばれ協調行動を進め、あるいは連帯して決定を行うものである。アメリカの反トラスト法と同様に、このことは取引や契約のようなもの、あるいは当事者間の意見の一致といったものとまったく同じなのである。そのため、納入業者に対して契約に暗黙の了解を含める小売業者への出荷をさせないように指示を送るような文書あるいは口頭での取り決めといった、強い結託に基づく行為はすべて事業に含まれるのである。欧州連合の機能に関する条約第101条1項ではこのことについて次の用語を用いて禁止している。 all agreements between undertakings, decisions by associations of undertakings and concerted practices which may affect trade between member states and which have as their object or effect the prevention, restriction or distortion of competition within the common market. (日本語訳)事業間の合意のすべて、事業連合体の決定および協定された取り扱いであって、加盟国間における貿易に影響を与え、それらの目的または効果として共同市場内における競争を阻害し、制限しまたは不公平な取扱い ここでいう協定には、小売業者同士での間のもののような水平的なものと、納入業者と小売業者での間のもののような垂直的なものがあり、欧州連合の領域内ではこのようなカルテル行為を違法としている。欧州連合の機能に関する条約第101条は、企業が正式な文書や協議で合意をしていなくとも、同時に価格を上下させるような非公式協定(いわゆる紳士協定)の締結および協調行動をカルテル行為に含まれるという解釈がなされている。ところが、同時的な価格上昇はそれ自体が協調行動であるということを示すものにはなりえず、むしろ関連する企業が他社の動きは共通市場内における通常の競争行動であると認識している証拠となる。この後半部分の認識について、協定を構成するという主観的要件としては理論上必要なものでない。協定に関連する限りにおいて、たとえ企業が違法性を認識していなくとも、あるいは競争を阻害するという意図を持たなくとも、競争を阻害したという事実のみが違法性を構成するのに必要な要件となるのである。 欧州連合の機能に関する条約第101条が適用されない事例としては3つの類型が挙げられる。まず、第101条3項では事業者の行為が消費者にとって利益になるものである場合を規定しており、たとえば当該分野におけるすべての競争を制限しない限りにおいては、技術的進歩を促進するような行為は違法とされない。だが原則として欧州委員会がこの例外規定を認定することはほとんどなく、この規定を扱えるような新たな仕組みについて検討が進められている。つぎに、欧州委員会は販売価格の修正を除いた重要性の低い協定について第101条の対象外としている。これは当該分野に関連する市場における占有率が10%に満たないような小規模の事業者による協定に対して適用している。しかし後述する第102条と同様に、対象となる市場の画定は重要なものではあるが解決が非常に困難な問題である。最後に、欧州委員会は協定の趣旨ごとに集団的な適用免除を行っている。以上について、適用除外に関して許容される行為、禁止される行為をまとめた一覧に記載がなされている。
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