言語表現における糞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 02:19 UTC 版)
日本語の「くそ」という語は、記紀に見られる古い言葉である。「臭し」「腐る」と同系と考えられているが、語の成立の先後関係は不明とされる。 なお、排泄を意味する古語の動詞は「まる」で、「くそまる」(排便する)「ゆまる」(排尿する)のように用いられた。これは、おまるという語に今も残るほか、長野県、愛知県など、一部の地域の方言として現在でも使われる。子音交替によりバ行に転じた「ばる」になると、さらに多くの地方で方言として残っている。たとえば、肥筑方言の「ばりかぶる=排便する(なお、「かぶる」は広く九州地方で排泄を意味する語。「しかぶる」は小便を漏らす、失禁するの意)」など。「ばば」の語源にも関係があるともといわれる。また、男児名に付く「麻呂」、「麿」、「丸」も、もとは「糞」、あるいはおまるに由来するという説がある。これは、名にわざと醜悪なものをつけ、幼児が魔物などに魅入られず力強く成長することを祈ったものであるという。 糞はまた、さまざまな慣用句に用いられる。例えば、現代日本語では、強い憤りやののしり、自分を鼓舞するときに、「くそ」、「くそっ」、「くそう」などと言うことがある。また接頭語・接尾語的に「くそ」を付け、侮蔑や、程度のはなはだしいことを否定的に表現する意図で用いることがある(くそ坊主・くそガキ・くそまじめ・下手くそ、など)。同様の例は、欧米諸語にも見られ、Shit!(英語)、Scheiße!(ドイツ語)、Merde!(フランス語)、¡Mierda!(スペイン語)、Merda!(イタリア語)といったののしりや侮蔑の意を持って「糞」に相当する語を用いる慣用表現が存在している。英語のShit!は下品とされるので、Shoot! やSheesh!など、発音が似た語をかわりに用いることがある。スペイン語でも、女性などはmierda(糞)という単語を直接口にするのを嫌い、最初のほうの発音が同じ単語であるmiércoles(水曜日)をその代わりにいうことがある。
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