しょく‐ばい【触媒】
読み方:しょくばい
化学反応の前後でそれ自身は変化しないが、反応の速度を変化させる物質。水素と酸素から水を生じさせる際の白金黒(はっきんこく)など。反応を速くする触媒を正触媒、遅くする触媒を負触媒という。
しょくばい【触媒】
触媒
スウェーデンの化学者ベルセーリウス(1779~1848年)は1835年、それ自身は変化しないで、反応の種類や速度を変える物質の働きを触媒作用(catalysis)と名付けた。放すを意味するkata、解くを意味するlusisというギリシア語に由来する。触媒作用をもつ物質が触媒であり、竪く結び付いた分子の結合を解き放して分解したり、別の物質の合成をするなどの作用を行う。触媒は硫酸やアンモニアなどの製造に使われるほか、排気有害物質の浄化などにも利用されている。
同義語 キャタライザー参照 触媒反応
キャタライザー
触媒
【英】: catalyst
同義語: 流動床式
触媒とは、化学反応においてそれ自身は変化せず、その存在が他の物質の反応速度を速めたり、いくつかの反応が共存する系で目的とする反応を選択的に促進させたりする物質をいう。触媒はただ反応速度を変えるのみで、可逆反応の場合、その平衡状態は触媒により影響されることはない。石油精製業では、多くの精製プロセスで触媒を利用しており、触媒なしでは今日の石油精製業は考えられない。主な精製プロセスとそれに利用されている触媒の組合わせは大略次のとおりである。水素化脱硫用触媒はアルミナまたはシリカアルミナのような多孔質担体に金属成分(Ni, Co, Mo, W など)を担持させたものであり、円筒型をしたものが多く使われている。接触改質用触媒は Pt-アルミナ系のものが主体である。近年はこれに Re、Ir、Ge などの第二金属を併用したバイメタル触媒が高活性であり、安定性も優れているところから一般化している。触媒の形状は円筒型や球型である。接触分解用触媒はシリカアルミナまたはゼオライトのような適度に酸性を有するものが使用される。触媒は高温で、流動させながら利用されるので、数十ミクロンの粒径を有する粉末状態である。 |
流動床式
触媒
触媒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 05:40 UTC 版)
触媒(しょくばい、英: catalyst)とは、一般に特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう[1]。生体内の触媒は酵素と呼ばれる。
- ^ a b IUPAC (2012-03-23). “catalyst”. Compendium of Chemical Terminology (the Gold Book) (2nd ed.). Oxford: Blackwell Scientific Publications. doi:10.1351/goldbook.C00876. ISBN 0-9678550-9-8
- ^ a b 田中一範『あなたと私の触媒学』裳華房、2000年、3頁。
- ^ 田中一範『あなたと私の触媒学』裳華房、2000年、4頁。
- ^ 尾崎萃. “「触媒」の名付け親は誰か”. 2012年7月12日閲覧。
- ^ IUPAC (2012-03-23). “catalysis”. Compendium of Chemical Terminology (the Gold Book) (2nd ed.). Oxford: Blackwell Scientific Publications. doi:10.1351/goldbook.C00874. ISBN 0-9678550-9-8
- ^ ベルセリウス著(田中豊助、原田紀子訳)「化学の教科書」p145、内田老鶴圃、ISBN 4-7536-3108-7
- ^ 「触媒研究所. 一 触媒化学と化学工業. 二 触媒研究所の設置. 三 触媒研究所の概要. 四 触媒研究所拡充期成会. 五 研究内容の概略. 六 研究成果. 七 紀要『触媒』及び『JRIC』の刊行. 八 触媒学会誕生と触媒研究所. 九 研究交流. あとがき. 年表」『北大百年史』 1980年 p.1251-1309, 北海道大学
- ^ IUPAC (2012-03-23). “poison in catalysis”. Compendium of Chemical Terminology (the Gold Book) (2nd ed.). Oxford: Blackwell Scientific Publications. doi:10.1351/goldbook.P04706. ISBN 0-9678550-9-8
- ^ IUPAC (2012-03-23). “inhibitor”. Compendium of Chemical Terminology (the Gold Book) (2nd ed.). Oxford: Blackwell Scientific Publications. doi:10.1351/goldbook.I03035. ISBN 0-9678550-9-8
- ^ “Wayback Machine”. web.archive.org. 2023年7月24日閲覧。
触媒
出典:『Wiktionary』 (2021/09/21 13:47 UTC 版)
名詞
- それ自身は化学反応の前後で変化しないが他の物質の反応速度を変化させる物質。
- (比喩的)他の物事を促進する別の物事。
- 中世の封建社会から、ヨーロッパが近代的な資本主義国家を築き上げる過程で、人は「ここはどこか、私たちは誰か、これからどこに向かうのか」と繰り返し問い続けた。そこから生まれた新しい考えを、本は素早く広め、社会の変革を促進する触媒の役目を果たした。(富田倫生「短く語る『本の未来』」)〔1997年〕[3]
- 御指摘の核兵器の非人道性に対する認識ですが、核兵器に関する立場、あるいはアプローチに関しましては、国際社会様々であります。しかし、こうした違いを超えて、この国際社会を結束させる触媒となるべきものがこの核兵器の非人道性の認識であると考えます。(岸田文雄、第190回参議院外交防衛委員会)〔2016年〕[4]
翻訳
動詞
活用
翻訳
- 英語: catalyze
「触媒」の例文・使い方・用例・文例
- 触媒反応
- 光触媒技術では光のエネルギーを利用しています
- これらの反応は、触媒を用いなくても進行します。
- この触媒はある温度になって始めて働く。
- この触媒は繰り返して使うことでできます。
- この触媒は繰り返して使うことが可能です。
- 有効な触媒がないので、その装置を改良することは困難であろう。
- 最初に、この実験で使用された触媒について吟味したい。
- 触媒作用によって.
- その計画はもともと日本経済を活性化させる触媒になればと思って立てられたものだ.
- 触媒作用によって
- プロパンの、触媒活性安定化燃焼
- 触媒によって変化するまたは触媒作用を引き起こす
- ポリエチレン線形化触媒
- 自触媒作用に関する、あるいは進行するさま
- 生体触媒の、または、生体触媒に関する
- 汚染物質と一酸化炭素を酸化させるためにプラチナ・イリジウム触媒を使用し二酸化炭素と水にするsコンバータ
- 触媒作用に関する、触媒作用を引き起こす、または、触媒作用にかかわる
- 侵略が国を1つにする触媒の役割を果たした
触媒と同じ種類の言葉
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