複素補間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/08 16:07 UTC 版)
「分数階ソボレフ空間」を得る別の方法に、複素補間によるものがある。複素補間というのは一般的な手法で、任意の 0 ≤ t ≤ 1 とより大きなバナッハ空間への連続的に埋め込まれたバナッハ空間 X, Y に対して [X,Y]t と表される「中間空間」を作ることができる(後で実補間法と呼ばれる別な方法について述べる。実補間はトレース作用素の特徴づけに対するソボレフ理論において本質的である)。このとき、空間 X と Y は補間対と呼ばれる。 複素補間について有用な定理を幾つか述べる。 再補間 [ [X, Y]a, [X, Y]b ]c = [X , Y]cb+(1−c)a. 作用素の補間 {X, Y} および {A, B} を補間対とし、T を X + Y 上で定義される A + B への線型写像で X を A に連続的に写し Y を B に連続的に写すものとすると、T は [X, Y]t を [A, B]t に連続的に写す。このとき補間不等式 (interpolation inequality) ‖ T ‖ [ X , Y ] t → [ A , B ] t ≤ C ‖ T ‖ X → A 1 − t ‖ T ‖ Y → B t {\displaystyle \|T\|_{[X,Y]_{t}\to [A,B]_{t}}\leq C\|T\|_{X\to A}^{1-t}\|T\|_{Y\to B}^{t}} が成立する(リース-ソリンの定理(en)も参照。 ソボレフ空間に戻って、非整数 s に対する Ws,p を整数階の空間 Wk,p たちを補間することによって定義する。もちろんこれが矛盾の無い結果を与えることは確認しなければならないことだが、実際次が成り立つ。 定理 n が n = tm なる整数ならば [ W 0 , p , W m , p ] t = W n , p {\displaystyle \left[W^{0,p},W^{m,p}\right]_{t}=W^{n,p}} が成立する。 したがって複素補間は、Wk,p の間にある空間の連続体 Ws,p を得る一貫した方法である。さらに、これは分数階微分の成す空間と同じものを定めるのである(後述の作用素の拡張を参照)。
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