複素線積分とベクトル場の積分との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 04:49 UTC 版)
「線積分」の記事における「複素線積分とベクトル場の積分との関係」の解説
複素平面 C を実 2 次の空間 R2 と見なせば、二次元ベクトル場の線積分は、対応する複素函数の共軛の線積分の実部に対応する。すなわち、x, y 軸方向の単位ベクトル j, k を用いて、r(t) = x(t)j + y(t)k および f(z) = u(z) + iv(z) と置くと ∫ C f ( z ) ¯ d z = ∫ C ( u − i v ) d z = ∫ C ( u j + v k ) ⋅ d r − i ∫ C ( v j − u k ) ⋅ d r {\displaystyle \int _{C}{\overline {f(z)}}\,dz=\int _{C}(u-iv)\,dz=\int _{C}(u\mathbf {j} +v\mathbf {k} )\cdot d\mathbf {r} -i\int _{C}(v\mathbf {j} -u\mathbf {k} )\cdot d\mathbf {r} } なる関係式が、右辺の 2 つの積分がともに存在することから言える。ただし C の媒介変数表示 z(t) は r(t) と同じ向きを持つようにとる。同じことだが、微分形式として見れば f(z)dz は f ( z ) d z = ( u ( x , y ) d x − v ( x , y ) d y ) + i ( v ( x , y ) d x + u ( x , y ) d y ) {\displaystyle f(z)\,dz=(u(x,y)dx-v(x,y)dy)+i(v(x,y)dx+u(x,y)dy)} と書くことができて、これと共軛複素積分 f ( z ) d z ¯ ( = f ( z ) ¯ d z ) = ( u ( x , y ) d x + v ( x , y ) d y ) + i ( v ( x , y ) d x − u ( x , y ) d y ) {\displaystyle f(z)\,d{\bar {z}}(={\overline {f(z)}}\,dz)=(u(x,y)dx+v(x,y)dy)+i(v(x,y)dx-u(x,y)dy)} をあわせて考えれば、ベクトル場としての線積分と面積分を考えることができる。 複素正則函数がコーシー=リーマンの方程式を満たすことから、正則函数の共軛に対応するベクトル場の回転は 0 になる。これはどちらの種類の線積分でもそれが 0 になるときのストークスの定理と関連がある。すなわち、ガウス=グリーンの定理を適用すれば複素関数の面積分は、その領域の境界上の線積分に帰着されるため、複素関数の積分では線積分が本質的である。特に正則関数 f の単純閉曲線 γ 上の閉路積分に関するコーシーの定理 ∮ γ f ( z ) d z = 0 {\displaystyle \oint _{\gamma }f(z)dz=0} は、γ を境界 ∂D とする領域 D でのグリーンの定理にコーシー・リーマンの関係式を代入することに対応する。
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