薄切
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 15:43 UTC 版)
固形の試料で押し潰し法では十分な結果が得られない場合、薄く切って切片(せっぺん)を作成する。カミソリ等を用いて手で切る場合を特に徒手切片という。これは試料にある程度の大きさと堅さがあり、さほど薄い切片が必要ない場合に行われる。試料が小さくて支持が難しい場合には、適度な柔らかさの支持材に挟み込んでそれ諸共に切る。この支持材としてはニワトコの髄(ピス)がよく使われる。ピスを固定してねじでわずかずつ送り出す器具もあり、ハンドミクロトームと呼ばれる。また、ペルチェ素子や液化炭酸ガスの気化熱などを用いて試料を凍結させて切る凍結ミクロトームと呼ばれる装置もある。これらの手法は簡便ながらその分迅速であり、処理に伴う人工物の生成も少ないなどの利点もある。 より薄く精密な切片が要求される場合、あるいは試料の性状から上記のような手法では薄切できない場合には、試料を固定して支持材に包埋した上で、ミクロトームを用いて薄切する。前述のハンドミクロトームは例外的に試料を送り出す機能のみで薄切は手に持ったカミソリで行うが、一般的には薄切用のナイフの動作と試料送りが連動している。回転式ミクロトーム、滑走式ミクロトームが代表的である。前者はナイフを固定して試料を動かすもので、ハンドルの回転をクランクで往復運動に変えて試料を上下させる。試料の動きと連動して試料をわずかずつ送り出すことで一定の厚さに薄切することができ、パラフィン切片の作成に標準的に用いられる。後者は試料を送り出し機構に固定し、ナイフを滑走路上で動かして薄切するもので、大型の試料にも対応できる。組織化学にはナイフを含め低温にして薄切するクライオトームがよく用いられる。電子顕微鏡用の超薄切片の作成に用いられるものはウルトラミクロトームと呼ばれる。 生物試料の包埋には古くよりパラフィンが用いられてきたが、固定した試料を完全に脱水してからパラフィンを浸透させる必要があるためやや手間がかかる。パラフィン包埋試料を回転式ミクロトームで薄切するとパラフィンリボンと呼ばれる状態になり、連続切片が容易に作成できる。現代ではそれを元にコンピュータで試料を三次元画像に再構成することも簡単に行える。パラフィン包埋には有機溶媒を用いるため脂溶性物質に関わる観察には利用できず、その場合は凍結法やゼラチン包埋、カーボワックス包埋など他の方法を用いなければならない。その他特に大型試料や軟質試料を対象にセロイジン包埋も滑走式ミクロトームとの組み合わせでよく用いられた。合成樹脂系の包埋剤は電子顕微鏡用に開発されてきたが、最近はLRホワイトなどが光学顕微鏡用にも広く用いられる。 岩石の薄切片を作成する場合は、精密切断機でおおまかにスライスした後アランダムやカーボランダムの微粉末などを用いて研磨して仕上げる。研磨には専用の研磨機の他、試料の硬度に応じて鉄板やガラス板、メノウ板などを用いる。 やや特殊な例として、厚みのある試料をそのままで観察する場合には、凹みのついたスライドグラス(ホロースライドあるいはホールスライド)を用いることもある。通常のスライドグラスにテープを貼ったりパップペンで枠を描いたりすることもある。スライドグラス上に塗布した寒天薄層上に微生物を培養して直接検鏡するスライドカルチャーという技法もある。
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「薄切」の例文・使い方・用例・文例
- ニンジンを薄切りにする
- 彼がにがうりを2mmくらいの薄切りにする
- この料理は薄切りにした玉ねぎを添えた冷やしトマトです。
- ブタの背肉を薄切りにする
- 私はエシャロットの皮をむいて薄切りにした。
- トップサイドの薄切りはレアで食べるのがいちばんだ。
- このナイフはパンを薄切りにするのにちょうどよい。
- 牛肉の薄切り.
- 薄切りになるように切る行為
- 薄切りにする
- 肉を薄切りにする
- 顕微鏡検査のためにある物を薄切りにする科学機器
- 特に、チーズのような特定の食品を薄切りにするために考案されているもの
- パンの薄切りまたはトーストにキャビアやチーズやその他の風味のよいものをのせた前菜
- 薄切りやさいの目に切った果実を混ぜ合わせたもの
- 砂糖のシロップで煮て、砂糖をまぶしたショウガの薄切り
- 柑橘類の果皮の薄切りを砂糖のシロップで煮たもの
- 薄切りの果物・アイスクリームにホイップクリーム・サクランボ・ナッツをのせたデザート
- リンゴの薄切りを入れたフリッター
- 薄切りにした冷肉の盛り合わせ
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