自衛隊病院の収支
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 05:47 UTC 版)
防衛省は平成21年に自衛隊病院の運営について、収支比率が著しく悪い病院では病床数が少ないなどとする分析結果(20年度予算執行調査を基に、全国に16ある自衛隊病院の19年の病床規模別の収支比率などを試算して財政制度等審議会に提出されたもの)を公表した。同省は、病床利用率の改善により収支の改善も期待できるとし、病床数の見直しや、現場におけるコスト意識の醸成などの改善が必要だとしている。 自衛隊病院全体では、歳入106億円に対して歳出は323億円に上っており、入院患者をどれだけ受け入れているかを示す「病床利用率」は28%で、自衛隊病院以外の76%(07年病院運営実態分析調査の概要=全国公私病院連盟)を大きく下回った。 自衛隊病院全体の改善の方向性として財務省は、▽収支データの収集分析を続け、コスト意識を醸成する、▽地域にあった医療を提供することができるよう各病院の位置づけを見直す、▽一般の患者を受け入れる「オープン化病院」への移行を推進し、地域医療に貢献する―ことなどを提案した。また、同年度の人件費が歳出全体の87.8%を占め、歳入の5.59倍に上った自衛隊病院もあり、収支の悪い病院で人件費の負担が重く、財務省では「統廃合を含む抜本的な見直しが必要」だと指摘している。 自衛隊病院では、自衛官は私傷病でも自己負担なしに診療を受けられる一方、俸給の1.6%があらかじめ控除されている。防衛事務官の場合には私傷病であっても俸給からの控除もなく、国民の理解が得られないとして財務省は「改善が必要」としている。なお、防衛事務官に対するこの制度は平成22年4月1日から自己負担3割になった。しかし医療費の計算方法は一般国民・他省庁の公務員が1点10円で計算されるのに対し、自衛隊病院において防衛省職員等は1点7円で計算される。即ち一般国民に比べて3割引であり、その差額は公費によって賄われる。
※この「自衛隊病院の収支」の解説は、「自衛隊病院」の解説の一部です。
「自衛隊病院の収支」を含む「自衛隊病院」の記事については、「自衛隊病院」の概要を参照ください。
- 自衛隊病院の収支のページへのリンク