胞子体
胞子体
胞子体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 20:35 UTC 版)
ツノゴケ類の胞子体 (ゲノムを2セットもち胞子を形成する体) はその名のように細長い角状であり、ふつう配偶体から多数の胞子体が生じている (下図)。他のコケ植物とは異なり、ツノゴケ類の胞子体は柄を欠き、足と胞子嚢 (蒴) のみからなる。胞子嚢は活発な光合成を行い、長期間成長する。 ツノゴケ類の胞子体 配偶体上から多数の胞子体が伸びており、一部は先端が2裂している 胞子体の基部は包膜に囲まれている (ニワツノゴケ属の一種)。 ツノゴケモドキの胞子体は短く、横向き 足は球形であり、配偶体の背面に埋没している (右図)。足に接する配偶体の細胞では細胞壁が発達して表面積が大きくなり、胎座組織が形成される (他のコケ植物では足側の細胞でも細胞壁が発達する)。足の上には恒常性の分裂組織が存在し、その上部の胞子嚢に続いている (右図)。ツノゴケ類の胞子体は恒常性の分裂組織をもつという点で維管束植物の胞子体に類似しているが、この分裂組織が頂端分裂組織ではなく介在分裂組織 (分化した組織の間に挟まれた分裂組織) であるという点で異なる。ツノゴケ類の胞子体は恒常性の介在分裂組織があるため、長期間成長を続け、直立した胞子嚢先端から次第に成熟していく。ただしツノゴケモドキ属の胞子体では分裂組織が比較的早く分裂能を失い、横向きの短い胞子嚢が発生終期まで包膜内に留まっている (上図)。 胞子嚢 (蒴) は細長い角状であり、基部は配偶体由来の構造である包膜 (involucre) で包まれている (上図、右図)。配偶体とは異なり、胞子嚢の表皮細胞はふつう葉緑体を欠く。また表皮にはふつう2個の孔辺細胞で囲まれた気孔が存在し、孔辺細胞は葉緑体を含む。ツノゴケ類の気孔は基本的に開閉能を欠いており、胞子嚢を乾燥させるのが主な機能であると考えられている。またキノボリツノゴケ亜科やツノゴケモドキ属の胞子体は気孔を欠く。表皮の内側には葉緑体を含む同化組織 (assimilatory tissue) が存在し、その内側に胞子を形成する細胞、中央に軸柱 (columella) がある (左図)。胞子嚢は先端から順次成熟し、先端から2縦裂して胞子と偽弾糸 (pseudoelater) を放出する (上図)。苔類の弾糸と異なり、ツノゴケ類の偽弾糸はふつう明瞭な細胞壁のらせん状肥厚を欠き、またしばしば複数細胞からなる。
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胞子体(2n世代の菌体)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/03 20:13 UTC 版)
「カワリミズカビ」の記事における「胞子体(2n世代の菌体)」の解説
胞子体は2n世代(複相世代)の菌糸体であり、菌糸の先端に仮軸上に遊走子嚢と休眠胞子嚢を作る。遊走子嚢は透明で菌糸よりやや膨らんだ形をしており、2nの遊走子が形成されて放出される。休眠胞子嚢は黄土色または焦茶っぽい色をしており、いくつかの種では発芽時に減数分裂が行われるステージである。成熟した休眠胞子嚢は乾燥条件下におかれた後に水分を与えられる事で発芽し、配偶子(nの遊走子)または2nの遊走子を放出する。
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胞子体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/08 14:01 UTC 版)
上記のように体内では細胞壁を持たない、多核体の原形質の固まり状で、不規則に二又分枝した様な形になる。時に変形体に似ていると言われる。この形でボウフラの体腔内で成長し、短い菌体に分断される形で増殖するので、これを分節菌糸体ということもある。ある時期になると菌体の各部から休眠胞子が形成される。菌体の枝先の部分が次第に楕円形に膨らみ、やがて厚い壁に覆われることで完成する。この休眠胞子はボウフラが死んで分解することで放出され、休眠の後にその内部に多数の遊走子が形成される。この過程で減数分裂が行われ、遊走子の核相は単相である。 なお、休眠胞子は後に内部に遊走子を形成することから遊走子嚢(胞子嚢)と相同と考えられ、その点では休眠胞子嚢と呼んだ方がよい。胞子嚢が分離して胞子のような散布体としてふるまう例は近縁のカワリミズカビや卵菌類のツユカビ目のものにも見られる。
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「胞子体」の例文・使い方・用例・文例
- 共生の菌性担胞子体
- 直生のガメトフォアと胞子体が茎の先にある広く分布した目
- 丸い隠れた胆胞子体を持っている腹菌類に属する菌の分類
- 塊根に似た担胞子体を地中にもつ菌類の属
- 革のような、または膜質の担胞子体を持つ菌類
- 単一で滑らかな担胞子体を持つ菌類の属
- 木幹と木構造で棚のような担胞子体を形成する木質の真菌
- しばしば大判のコルク、または樹木の多年草の棚状胆胞子体を形成するサルノコシカケの類
- 頭脳と似ている回旋を持つ黄色みがかったゼラチン状の担胞子体の菌
- ゼラチン状の担胞子体を持つ菌
- 胞子を有する枝か器官:胞子を発達させる胞子体の葉状体の部分
- 最初は完全に成長によって裂かれるいろいろなキノコの若い担胞子体を覆っている細胞膜
- かさの縁から茎に及ぶ若い担胞子体の細胞膜、成長に伴い破裂する
- 空中の若枝と根茎に分かれた二叉の枝分かれした胞子体があり、真性の根がない下等維管束植物
胞子体と同じ種類の言葉
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