耐震設計
耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:31 UTC 版)
「福島第一原子力発電所」の記事における「耐震設計」の解説
耐震設計については、上記のような災害想定を踏まえつつ、建設当時既に通例化されつつあった、重要度分類に応じた4段階の区分を前提に実施された。 クラスAs:原子炉圧力容器、原子炉格納容器、圧力抑制プール、ベンド管、全貫通部及びエアロック クラスA:原子炉建屋、廃棄物処理建屋、制御建屋、原子炉建屋内クレーン、排気ダクト、排気塔 クラスB:タービン建屋、サービス建屋、タービン台、タービン建屋内クレーン、排気貯留系室 クラスC:As, A, Bに区分されない全ての建物、構築物 なお、本発電所1号機の耐震設計仕様書作成は1965年のことであり、敦賀発電所と炉のタイプが共通していることもあって、格納容器、ダクトの仕様については簡略化されていると言う。 この結果、1号機の設計用地震加速度は下記の様に申請され、そのまま認可された。 クラスAs:0.27g クラスA:0.18g。 ここで、上記でも触れた岩着思想について本発電所での実例を踏まえながら説明する。日本の原子力発電所では、原子炉建屋やタービン建屋は通常の建物のように杭だけを岩盤に差し込むのではなく、岩盤が露出するレベルまで土地を掘り下げ、ベタ基礎のように人工岩盤(これをマンメイドロックと称する)のコンクリートを打設し、建屋底部を半ば岩盤に埋め込んで一体化させている。本発電所にてもこの手法が取られた。これは、同じ地震では岩盤層の方が表層地盤より揺れが抑制されると言う考え方と、揺れの際に表面の柔らかい地層に施設を建設すると、不同沈下が発生して機器の異常に繋がる可能性があるため、これを防止する目的がある。福島原子力建設所建築課長の加藤恒雄は『電気情報』1969年10月号の座談会にて、岩着思想の説明を行い「一八〇ガルの地震が加わった場合に、その上にある比較的軟らかい上層とでは、地震を受けた場合の振動は、当然軟らかい層での方が大きく揺れますので、三五メートルの標高での地表ではガルは約二倍半くらいふれることになり、四五〇ガルの地震に相当する。この四五〇ガルの地震とは、当地方では経験したことの無いもので、従って基盤で一八〇ガルを採用すれば、十二分に安全である」と説明している。なお、耐震設計については東京電力で直接実施し、その結果をGEに提示して構造計算を行っている。
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耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 23:05 UTC 版)
港大橋の耐震設計は修正震度法が採用されており、長期間使用されることを考慮した経済的な設計となっていた。「道路橋示方書 V 耐震設計編」が出版される1980年(昭和55年)以前のものであり、想定された地震動の最大加速度は250 Galだった。 1995年(平成7年)の兵庫県南部地震による影響で港大橋も耐震連結装置などに損傷が発生した。そのため、上町断層を震源とした地震を想定したレベル2相当の地震動を考慮して再解析を行った結果、トラス構造部材の多くが降伏または座屈する可能性があることが判った。そのため、耐震補強工事が行われた。設計にあたり、従来の耐震補強設計とは異なり、免震・制振技術を採り入れ、トラスの断面力低減・降伏部材数減少を目的とした考えとした。なお、コストについては従来の耐震補強設計とした場合の約2/3で済んだとされている。この耐震補強工事により、2007年(平成19年)度に二度目の土木学会田中賞(作品部門)を受賞している。
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耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 15:20 UTC 版)
「福島第一原子力発電所1号機の建設」の記事における「耐震設計」の解説
耐震設計については、建設に先立ち実施された環境調査、災害想定(福島第一原子力発電所を参照)を踏まえつつ、建設当時既に通例化されつつあった、重要度分類に応じた4段階の区分を前提に実施された。 クラスAs:原子炉圧力容器、原子炉格納容器、圧力抑制プール、ベンド管、全貫通部及びエアロック クラスA:原子炉建屋、廃棄物処理建屋、制御建屋、原子炉建屋内クレーン、排気ダクト、排気塔 クラスB:タービン建屋、サービス建屋、タービン台、タービン建屋内クレーン、排気貯留系室 クラスC:As,A,Bに区分されない全ての建物、構築物 1号機の耐震設計仕様書作成は1965年のことであり、1年ほど先行して建設されていた日本原子力発電敦賀発電所1号機と炉のタイプが共通していることもあって、格納容器、ダクトの仕様については簡略化されていると言う。 この結果、1号機の設計用地震加速度は下記の様に申請され、そのまま認可された。 クラスAs:0.27g クラスA:0.18g。 なおここで、岩着という設計思想について本発電所での実例を踏まえながら説明する。日本の原子力発電所では、原子炉建屋やタービン建屋は通常の建物のように杭だけを岩盤に差し込むのではなく、岩盤が露出するレベルまで土地を掘り下げ、ベタ基礎のような形状の人工岩盤(これをマンメイドロックと称する)のコンクリートを打設し、建屋底部を半ば岩盤に埋め込んで一体化させている。本発電所にてもこの手法が取られ1965年11月に原子力発電準備委員会が最終答申を提出した際にも、当地にて第三紀層が安定している地盤であることを確認していた。 これは、同じ地震では岩盤層の方が表層地盤より揺れが抑制されると言う考え方と、揺れの際に表面の柔らかい地層に施設を建設すると、不同沈下が発生して機器の異常に繋がる可能性があるため、これを防止する目的がある。福島原子力建設所建築課長の加藤恒雄は『電気情報』1969年10月号の座談会にて、岩着について定量的な表現を交え、次のように説明を行っている。 一八〇ガルの地震が加わった場合に、その上にある比較的軟らかい上層とでは、地震を受けた場合の振動は、当然軟らかい層での方が大きく揺れますので、三五メートルの標高での地表ではガルは約二倍半くらいふれることになり、四五〇ガルの地震に相当する。この四五〇ガルの地震とは、当地方では経験したことの無いもので、従って基盤で一八〇ガルを採用すれば、十二分に安全である、という結論を出しています。(中略)これらの耐震設計は、東電が独自に直接行っています。さきほどもお話がありましたが、一号本館の設計は、機械と併せて全てアメリカの設計をその儘買っておりますが、耐震設計は、東電の設計結果を米に示し、これによって構造計算をさせています。 — 「より高度な安全施策を推進―福島原子力の建設工事―」『電気情報』1969年10月pp43-44 やや表現を変え、採用した地震波を交えて説明したものとしては、後年次のものが書かれている。 敷地内において地中地震計による地震動観測を行った結果によれば、地表面上と基盤上の加速度比は約2.5であることが判明しており、基盤上で0.18gとすれば地表面上の加速度は約450Galとなるが、この敷地の近傍で、過去に地表で400Gal以上(震度階VII、激震)の地震動を経験したことはない。また金井式により、敷地地盤の固有周期Tを種々に変えた試算の結果によれば、正保3年の陸前地震(西暦1646年、マグニチュード7.6、震央距離68km)で、T=0.22secとしたときの影響が最大で、このときの基盤加速度の推定値が約180Gal。敦賀発電所の設計用最大加速度は0.25gであったが、過去の地震歴から福島地点の地震活動度(seimicity)を敦賀地点の1/1.5程度とみなし、したがって0.25g×1/1.5=0.17gが得られる。このような考察が、福島発電所の設計用最大加速度振幅として、180Galを採用したことの根拠とされている。なお、格納容器・緊急停止系などの安全対策上特に緊要な施設については、この値の1.5倍すなわち270Galに対して、機能の保持されることを確かめることとした。 入力地震動の波形は、加速度応答スペクトルの形状が敷地で測定された微小地震と似ていることから、Taft 1957 EW地震動を用い、また当時の代表的な強震記録であったEl Centro 1940 NSも共に使用している。 — 「第1章 原子力施設の耐震設計の歴史」『原子炉施設の耐震設計』 なお、加速度が算出された経緯については原子力委員会月報に添付された設置許可時の資料「東京電力株式会社福島原子力発電所原子炉の設置に係る安全性について」に明記は無い。
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耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 01:02 UTC 版)
空調設備設計、衛生設備設計、電気設備設計において、それぞれの技術分野での設計技術は確立されているが、それぞれの設備について耐震を考慮した設計でないと地震時対応できない。例えば、空調機、送風機、水槽を設置する鋼製架台は耐震能力を確認する必要がある。配管、ダクトは耐震振れ止めを必要とする。キュービクルの据付は耐震を考慮しなければならないし、配線ラックは、耐震振れ止めを必要とする。
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耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 08:51 UTC 版)
「薬院大通センタービル」の記事における「耐震設計」の解説
建物全体で震災を軽減する全体崩壊形設計。 地形基盤 壱番館については岩盤上に連結されており、土壌変化による影響を受けにくい。弐番館については岩盤までを杭を通すことで壱番館同様の耐震性能を得ている。 耐震成果 建物完成直後に福岡県西方沖地震に見舞われるが、柱や梁などの主要耐震部材には被害が見られなかった。
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耐震設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 10:14 UTC 版)
道路橋示方書Ⅴ耐震設計編による耐震設計は、橋の場合その重要度に応じて必要とされる耐震性能を確保することを目標として行うこととなっているが、橋の重要度は道路種別や橋の機能・構造に応じて、重要度が標準的な橋と特に重要度が高い橋の2つに区分する。 重要度が標準的な橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対して致命的な被害を防止することを目標としている。 特に重要度が高い橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対しては限定された損傷にとどめることを目標とする。ここで、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震動というのは、プレート境界型の大規模な地震を想定したタイプⅠの地震動および内陸直下型地震を想定したタイプⅡの地震動の2種類を考慮したものである。 具体的な耐震設計は、原則として「震度法」及び「地震時保有水平耐力法」という設計法によって行われる。 震度法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対して、であり、許容応力度、許容支持力、許容変位、安全率、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。地震時保有水平耐力法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対してであり、地震時保有水平耐力および許容塑性率、残留変位、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。 地震時の挙動が複雑な橋は、動的解析を行う。その結果を設計に反映させている。耐震設計にあたっては、地形・地質・地盤条件、立地条件などを考慮し、耐震性の高い構造形式を選定すると同時に、個々の上下部構造の設計に対してのみならず、支承部や落橋防止システムも含めて、橋全体系が耐震性を有するように配慮しなければならない。
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