細菌による回避と操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 17:14 UTC 版)
「ファゴソーム」の記事における「細菌による回避と操作」の解説
多くの細菌がファゴソームの殺菌作用を回避する機構または食作用を進入戦略として利用する機構を進化させている。 結核菌M. tuberculosisは、活性酸素種を産生しない下気道のM2マクロファージを標的とする。また、結核菌はPtpAやSapMなどのホスファターゼを分泌することでシグナル伝達経路を操作し、タンパク質のリクルートやファゴソームの酸性化を防ぐ。 レジオネラ・ニューモフィラL. pneumophilaはファゴソーム膜をリモデリングし、分泌経路の他の部分の小胞を模倣する。そのためリソソームはファゴソームを認識せず、融合しない。レジオネラは宿主の輸送に干渉する毒素を分泌するため、レジオネラを含む空胞には、通常は小胞体やERGICに存在する膜タンパク質がリクルートされる。その結果、改変されたファゴソームへ分泌小胞が送られ、微生物へ栄養素が運搬される。 リステリア・モノサイトゲネスListeria monocytogenesはポアを形成するタンパク質リステリオリシンOを分泌するため、微生物はファゴソームから細胞質へ逃れることができる。リステリオリシンはファゴソームの酸性環境によって活性化される。さらに、リステリアはファゴソームを逃れるために2種類のホスホリパーゼCを分泌する。
※この「細菌による回避と操作」の解説は、「ファゴソーム」の解説の一部です。
「細菌による回避と操作」を含む「ファゴソーム」の記事については、「ファゴソーム」の概要を参照ください。
- 細菌による回避と操作のページへのリンク