算術の基本定理
(素因数分解の一意性 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 04:00 UTC 版)
算術の基本定理(さんじゅつのきほんていり、英: fundamental theorem of arithmetic)または素因数分解の一意性(そいんすうぶんかいのいちいせい、英: unique factorization theorem)は、「任意の正整数は、1 を除いて、一つまたはそれ以上の素数の積として(因子の順番の違いを除いて)ただ一通りに表すことができる」[注 2]という初等整数論(算術)における定理である[注 3]。
注
- ^ a b 【定理】どのような合成数もただ1通りの仕方で素因子に分解される (ガウス & 高瀬 1995, 第16条)。
- ^ (Hardy & Wright 2008) および (ハーディ & ライト 2012, pp. 2–4) は、定理 1: 「任意の正整数は、1 を除いて、一つまたはそれ以上の素数の積に表される」("Every positive integer, except 1, is a product of one or more primes") と述べている(続く定理 2: 「その分解は一意である」とあわせて「基本定理」が構成される)。
- ^ 1 を「0 個の素数の積」と見なすという規約を設けることも多い[2]。そうすれば、この空積の規約を以って、1 をも含めた全ての自然数について算術の基本定理が成り立つと述べることができる[3]。このような規約は最大公約数の計算においてもしばしば有用である。[要出典]
- ^ もし a も b も素数 p で割り切れないならば、積 ab もまた p で割り切れない (ガウス & 高瀬 1995, 第14条)。
- ^ これが定理の証明において、鍵となる補題である。ガウス以前には長い間自明のことと見なされていた[要出典]が、一般の代数体ではこの事実は成立しない。
出典
- ^ ガウス & 高瀬 1995, pp. 102, 497。
- ^ Nathanson 2000, p. 26.
- ^ Nathanson 2000, p. 26, Theorem 1.10 (Fundamental theorem of arithmetic).
- ^ 高木 1971, pp. 12f, 411f
- ^ スチュアート 2013, p. 113
- 1 算術の基本定理とは
- 2 算術の基本定理の概要
- 3 解説
- 4 証明
- 5 一般化
- 6 外部リンク
素因数分解の一意性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 08:07 UTC 版)
ガウス整数環の特筆すべき性質として、素元分解整域(一意分解環などともいう)であるという事実がある。つまり、 任意のガウス整数は積の順序・同伴による違いを除いてガウス素数の積で一意に表すことができる という定理がある。 例: 5 = (1 + 2i)(1 − 2i) = (2 + i)(2 − i) は2通りの因数分解を与えているが、1 + 2i と 2 − i、1 − 2i と 2 + i がそれぞれ同伴であるので、これらは同じ因数分解とみなす。 (有理整数環で 6 = 2 × 3 = (−3) × (−2) は区別しないのと同様である) 素因数分解の一意性は、当然成り立つことであるかのように誤解されることは多い。初等教育・中等教育では、有理整数の素因数分解の一意性の非自明性について触れられることはほとんどないが、しかし √2 が無理数であることの証明で、素因数分解の一意性を用いずに証明している、という点が挙げられる。歴史的にも長い間証明が必要なこととは認識されていなかった。しかし、例えば Z [ − 5 ] := { a + b − 5 ∣ a , b ∈ Z } {\displaystyle \mathbb {Z} [{\sqrt {-5}}]:=\{a+b{\sqrt {-5}}\mid a,b\in \mathbb {Z} \}} においては 6 = 2 × 3 = (1 + √−5)(1 − √−5) であるので素因数分解(正確には既約元分解)の一意性が成り立たない。 Z [ − 5 ] {\displaystyle \mathbb {Z} [{\sqrt {-5}}]} の単数は 1, −1 のみなので、同伴の違いでもない。そもそも、2, 3, 1 + √−5, 1 − √−5 は既約元ではあるが素元ではないので、一意性以前に素元分解ができないのである。なお、素元分解ができれば一意的であることは、素元の定義より直ちに分かる。
※この「素因数分解の一意性」の解説は、「ガウス整数」の解説の一部です。
「素因数分解の一意性」を含む「ガウス整数」の記事については、「ガウス整数」の概要を参照ください。
- 素因数分解の一意性のページへのリンク