米欧におけるスタイルの相違
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/12 09:24 UTC 版)
「モンキー乗り」の記事における「米欧におけるスタイルの相違」の解説
モンキー乗りはアメリカを発祥として世界各国へ広まったが、そのフォームは各地で細部が異なった形で発展し、アメリカ型とヨーロッパ型に大別される。アメリカ型では鐙を浅く爪先に掛け、上体を前傾させて馬の背に貼り付くような姿勢であるが、ヨーロッパ型ではアメリカ型よりも上体が起き、スパートを掛けてからは下半身でも盛んに扶助を行う。また、アメリカ型が馬の腰に鞭を入れるのに対し、ヨーロッパ型は鞭を振り上げて馬の尻を打つ。こうした相違は、両者の競馬場の違いから起こると考えられている。アメリカの競馬場は平坦なトラックコースであるため、「空気抵抗を避ける」ことに主眼が置かれているのに対し、ヨーロッパの競馬場は起伏に富み、力を要するため、「馬を動かす」ことに主眼が置かれているのである。 もっとも、1980年代にアメリカからヨーロッパに渡って成功したスティーヴ・コーゼン、キャッシュ・アスムッセンの影響や、世界的なスピード重視の傾向を受けて、ヨーロッパでもアメリカ型のフォームで騎乗する者が増加している。1990年代から2000年代にかけてのトップジョッキーであり、自身もアメリカ型が好きだというランフランコ・デットーリは言う。「前世紀、トッド・スローンと彼のモンキー乗りが一世を風靡し、スティーブ・コーセンのはそれ以上続いている。イギリスの競馬に合わせて改造していったスティーブの騎乗フォームに合わせるよう努めたジョッキーが何人かいたのもおかしなことだった」。デットーリによれば、アメリカよりも総じて距離が長くペースも遅いヨーロッパの競馬で、終始低い姿勢を保つ完全なアメリカ型で騎乗することは体力的に難しく、「レース前半は馬をリラックスさせるよう鞍上をやや高めに、後半はスピードをつけるためアメリカン・クラウチングスタイルに、このやり方が一番効果的なようだ」と語っている。 なお、純然たるアメリカ型では、右側の鐙を左側よりも短くする「エース・デュース」というスタイルが採用されている。これはアメリカの競馬場がすべて左回りかつ小回りであるため、重心を左側に置いてコーナーをより小さく回るための工夫である。創始者はエディー・アーキャロとされる。
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