破壊的技法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 18:46 UTC 版)
詳細は「:en:Destructive fishing practices」を参照 破壊的な漁業慣行とは、水生生物や生態系に不可逆的な被害をもたらす慣行をいう。不適切に使えば多くの漁法が破壊的となりうるが、一部の慣行は特に不可逆的な損害をもたらす可能性がある。これらの慣行は大半が違法である。例えば以下のものがある。 ダイナマイト漁 - ダイナマイト漁または爆発漁とは、現地で入手可能な材料から作られたダイナマイトや即席爆発装置で簡単かつ安価に実施されている。魚は爆発からの衝撃波によって殺され、その後で水面から掬い取られたり水底から集められる。爆発は無差別に近くの魚や海洋生物を大量に殺し、物理的環境を損傷したり破壊できてしまう。爆発は特にサンゴ礁に有害である 。この漁は、日本を含め 世界中の多くの水域で違法とされている。 底引網 - 海底に沿って行うトロール漁(トロール網を曳航)のこと。科学界では底引網を底生帯と底質帯のトロールに区分している。底生帯トロールは海底の一番下で網を引くもので、底質帯トロールは底生帯のすぐ上で網を引くものを言う。底引網は、海底に棲む魚(根魚)と半遠洋種(タラ、イカ、エビ、メバルなど)の両方をターゲットにしている。この漁は北海やグランドバンクなど大量漁獲された場所で1世紀以上にわたって運用されている。乱獲は長い間グランドバンクで魚生息域に大きな生態学的変化を引き起こしていると認識されているが、ここ近年では底生帯トロールが海底の生息域にもたらす被害に関する懸念が高まっている。特に懸念される種は、成長の遅い深海サンゴのLophelia pertusaである。この種は深海生物の多様な生物群にとって棲み家となっているが、漁具により簡単に損傷を被ってしまう。2004年11月17日、国連総会は各国に対して公海着底トロール漁の一時停止を検討するよう要請した。 毒流し - シアン化物での魚獲りは主に水槽で使うために生きた魚を採集する方法で、魚を気絶させるためシアン化ナトリウム混合物を獲りたい魚の生息地に噴霧したりする。この実践は、標的の個体数だけでなく他の多くの海洋生物も傷つける。日本では、研究調査で農林水産大臣からの許可が下りた場合を除き、この漁は違法である。近年の研究では、シアン化物の使用と捕獲後の扱いによるストレスの組み合わせで、生物の捕獲後48時間以内の死亡率が最大75%になる[要出典]事が示されている。これほど高い死亡率だと、捕獲後の死を埋め合わるべく更に大量の魚を捕まえる必要がある。 ムロアミ (Muro-ami) - 東南アジアのサンゴ礁で採用されている破壊的な職人漁法。打撃装置(サンゴ礁に叩き付けるべくロープで固定した大石など)の付いた巻網が使われる。また同装置は、船に装着したクレーンで海上に吊り下げられたセメントの重い大型ブロックで構成されたりもする。打撃装置は網で囲まれた領域に繰り返し降ろされ、サンゴ避難場所の魚を怖がらせるためにサンゴを小さな断片に粉砕する。サンゴ塊への「破砕」影響は、長期的かつ実質的に完全な破壊的影響を及ぼすと説明されている。
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