界面の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 01:30 UTC 版)
理想気体のように分子相互作用(分子間力や静電気力など)がなく凝縮しない場合には、複数の成分を混ぜ合わせても、乱雑さ(エントロピー)が増大する方向に自発的に変化する、つまり混合して均一となる。しかし、分子間相互作用があり、凝縮相となる実在分子において、異種分子間の相互作用より、同一種分子間の相互作用のほうがはるかに強いとき、混合するよりもそれぞれが相分離して、同一種同士の相互作用で安定化するほうが有利となる。このとき、相分離した二つの相の境界が「界面」である。例えば、水分子同士には分子間力よりかなり強い水素結合が働く。油の分子同士では互いに弱い分子間力しか働かない。ゆえに、水は水分子同士で固まっていたほうが安定であり、水と油は混ざり合わないのである(ただしそれでも超音波細動などで水素結合を切って分子レベルで均一にすることはできる)。 界面近傍の分子は、周囲を取り囲む同一種分子の総数が内部より少なくなるために、同一種分子の相互作用で安定化されている内部の分子より自由エネルギー的に不利な状態になる。つまり、内部と比べて過剰の自由エネルギーをもつことになり、これを界面自由エネルギー(interfacial free energy)という。この界面自由エネルギーを低下させるために、界面はできる限り小さくなろうとする。これが界面張力(interface tension)であり、単位面積当たりの界面自由エネルギーとなる。気体との界面の場合は表面張力という。 表面が曲率を持つ場合、その表面の持つエネルギーの効果はヤング・ラプラスの式や、蒸気圧に関するケルビン方程式によって表される。
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