甲革の原料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 02:13 UTC 版)
甲革とは、靴の上部の革である。通常革靴は動物の皮をなめしたものを主な原材料とする。主なものは牛・馬・カンガルー・豚・ヤギなどである。このうち、豚は主に甲革の内張に多用される。豚革は日本が唯一輸出している皮革である。 牛革:最も一般的な革であり、革靴に使用される革としては最大数量。一般的に成牛の背中から脇までの皮を使用する。カウ・ブル等の分類があるが、基本的に全て肉牛の皮である。表面にエンボス加工を施すことにより、オーストリッチ(ダチョウ)・ワニ・ヘビなどの模造をする事も可能である(これらの革は高級かつ国際条約により取引規制されているので誤解を招かないよう「**風」として販売される)。外見上の特徴は特に無い。 コードバン:馬の臀部の皮を植物の渋(タンニン)でなめしたもの。分厚くて独特の光沢があるため、ドレスシューズにも用いられる。日本ではあまり使われないが、欧米では沼地などで使う狩猟靴にしばしば採用される。オイルドレザーなども多い。 カンガルー革:近年特に使用が増えた皮革である。世界的に肉牛の需要が減少し、副産物としての牛革が減少するに伴い、徐々に採用された。基本部位は肉牛と同じく背中から脇であるが、カンガルーは二足歩行するため、革の形状も三角形に近い形を成しており、製造過程で若干の技術的困難が見られた。外見上は牛革と大差なく、見分けはつきにくい。 豚革:非常に柔らかいのが特徴で、摩耗に強いため靴の内革に使用される。3本ずつ揃った毛穴が特徴で、一見して豚革と判別できる。 ヤギ・羊革:表面が平滑で、柔軟性の富むが、皺になりやすい。目の細かい毛穴が特徴である。 シカ:柔らかく水に強い。ディアスキンと呼ばれる。 その他:このほか、高価なものとしてはオーストリッチ、ペッカリー(ノブタ)、ワニ・ヘビなどの皮も甲革として使用されることがある。
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