現行実用新案法の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 19:38 UTC 版)
「実用新案法」の記事における「現行実用新案法の問題点」の解説
現行実用新案法は、ドイツ実用新案 (de:Gebrauchsmuster) 法にならって、改正前に実施されていた実体審査を省略して、ライフサイクルの短い商品の実用新案権保護を図ることを主目的としているが、実際は目的どおりの権利保護としては殆ど機能せず、かえって以下の問題を生じ、中小企業の知的財産権保護に悪影響を及ぼしているという批判がある。 平成5年は実用新案法の改正と共に、特許法も補正時の新規事項追加の禁止といった改正が行われ、完全な先行調査を行う資力のない中小企業が先出願主義に基づいて明細書を作成、出願し、その後に発見された先行技術に基づいて要旨変更を伴わない補正を行うことが困難になったため、かえって負担になった。 特許も審査請求期間の短縮や早期審査制度の実施で公開前に登録されるケースも出たため、ライフサイクルの短い商品でも特許での権利保護が容易になって、存在価値が無くなる傾向にあること。 実体審査が行われなくなったことで、実用新案登録が容易になり、実用新案法改正に無知な中小企業が民暴による恐喝の被害にあっていること。 このため、実体審査省略は日本の産業国情にはかえってなじまず、実体審査を復活して、むしろ、特許法との格差をつけ、改良技術の考案を主力とし、日本国内向けのみに販売する中小企業の知的財産権保護に役立てるべきという意見がある。また、上記の通り、実用新案制度は歴史的使命を終えており、廃止すべきであるという意見もある。
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