「物忌(ものいみ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

物忌とは? わかりやすく解説

物忌み

読み方:ものいみ
別表記:物忌

忌むこと。凶事不吉避けるために、あるいは斎戒のために、謹慎すること。

もの‐いみ【物忌(み)】

読み方:ものいみ

[名](スル)

神事などのため、ある期間、飲食言行などを慎み沐浴をするなどして、心身のけがれを除くこと。潔斎斎戒

夢見の悪いときや、けがれに触れたとき、また、暦の凶日などに、家にこもるなどして身を慎むこと。

「いと恐ろしく占ひたる—により、京の内をさへ去りて慎むなり」〈源・浮舟

2のしるしとして木札忍ぶ草などに「物忌」と書いて冠や簾(すだれ)などに掛けたもの。平安時代盛行した物忌み

母屋の簾はみな下ろしわたして、—など書かせてつけたり」〈源・浮舟

伊勢神宮はじめとして香取鹿島春日(かすが)・賀茂などの大社仕えた童男童女

神主—等ばかり留りたりしに」〈神皇正統記・応神〉


物忌

読み方:モノイミ(monoimi)

神聖なものを憚り穢れ不浄なものに接触しないよう心身ともに忌むこと。


ものいみ 【物忌】

不吉として、ある物事忌むことをいうが、ある期間、飲食や行為を慎んで斎戒することをもいう。また占いや暦が凶であるときや夢見の悪いときなど、家に籠って謹慎をすることにもいい、そのとき木札忍草に「物忌」と書いて冠・簾に付けをもいう。昔、伊勢神宮賀茂春日鹿島香取などの諸大社で、忌み籠って神事あたった童男童女も物忌と呼んだ

物忌み

(物忌 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 15:56 UTC 版)

物忌み (ものいみ)とは、ある期間中、ある種の日常的な行為をひかえ穢れを避けること。斎戒に同じ[1]

具体的には、肉食や匂いの強い野菜の摂取を避け、他の者と火を共有しないなどの禁止事項がある。日常的な行為をひかえることには、自らの穢れを抑える面と、来訪神 (まれびと)などの神聖な存在に穢れを移さないためという面がある。

神祇令における物忌み

公的な祭祀における物忌みについては、養老律令神祇令に定められている。大祭、すなわち大嘗祭においては散斎(あらいみ)一月、致斎(まいみ)三日、中祭は三日、小祭は当日のみとされている[2]。ここに於いて散斎とは軽度の物忌み、致斎とは厳重な物忌みのことである。

同じく神祇令に大祭にかかる散斎の期間中は、通常の執務を行ってよいが、死者の弔い、仏事法要を行うこと、病人の訪問、肉食、死刑の実施、刑罰言い渡しの署名、笞刑の実施、神事の為の雅楽以外の音楽の演奏、および穢れに関わることを禁ずる[3]と定められている。更に伊勢神宮の斎宮に類似する忌語、即ち「死をなおる」と、「病をやすみ」と、「哭くを塩たる」と、「血をあせ」と、「宍を菌」(肉食の禁止に由来)と言い換えることも定める。[4] 致斎においては祭祀に関わること以外の一切が禁じられている。

現代の規定

神社本庁では、「斎戒に関する規定」として大祭、中祭は当日および前日、小祭は当日斎戒するものと定めている[5]。斎戒中は、「潔斎して身体を清め、衣服を改め、居室を別にし、飲食を慎み、思念、言語、動作を正しくし、汚穢、不浄に触れてはならない」とされている。

民間における物忌み

民間においても、同様の作法が行われていた。祭りの関係者は祭りの前一定期間は歌を歌わない、肉食をしない、下肥を扱わない、などという習慣が行われていた。また、地域によりキュウリゴマなどの摂取を禁止する例もある。

その他に季節ごとの神の来訪に合わせた物忌みが行われていた。例えば神津島では旧暦1月24日夜に海から訪れる神を迎えるため、20日ごろから山に入ることを控え、当日は仕事を休み、物音を立てないようにし、夜間は明かりもつけず、戸を開けることもしないという物忌みが現在も行われている[6]

祭の中心となる頭屋などには特に長期にわたる物忌みが要求され、やはり散斎と致斎の期間が設けられていた。致斎の期間には特に穢れを防ぐため、精進小屋などで別火生活が行われた。

関連項目

脚注

  1. ^ 石川純一郎 著「物忌み」、桜井徳太郎 編『民間信仰辞典』東京堂出版、1980年、289頁。 
  2. ^ 神祇令義解講義”. 2014年7月27日閲覧。
  3. ^ 儀式 践祚大嘗祭儀』、皇學館大学神道研究所 p.300~332、p.765 ISBN 978-4-7842-1619-2
  4. ^ 儀式 践祚大嘗祭儀』、皇學館大学神道研究所 p.332
  5. ^ 沼部春友; 茂木貞純『新神社祭式行事作法教本』戎光祥出版、2011年、280頁。 
  6. ^ 田中宣一 著「忌み日」、桜井徳太郎 編『民間信仰辞典』東京堂出版、1980年、31頁。 

物忌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 16:38 UTC 版)

鹿島神宮」の記事における「物忌」の解説

ものいみ」。本殿内陣奉仕役。

※この「物忌」の解説は、「鹿島神宮」の解説の一部です。
「物忌」を含む「鹿島神宮」の記事については、「鹿島神宮」の概要を参照ください。

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