深海魚たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 04:05 UTC 版)
盆休みに入った時期、京都府下鴨神社の境内では「下鴨納涼古本祭り」が催されていた。古本並びに古本市を毛嫌いする先輩だが、黒髪の乙女が古本市へ出かけると語ったのを噂に聞き、これは好機だと来場した。ところが乙女の姿を発見しても古本市の神を名乗る美少年に絡まれ、接触は叶わなかった。少年は恐るべき古書への知識に恵まれ、市場の古本を悪質な人々の手から正しき場所へ戻すのだと、市場の古本を操作していた。少年の虚言によって警察へしょっぴかれかけた先輩だったがすんでのところで救われる。救いの手を差し伸べたのは、かつて乙女と李白が飲み比べをした料理店「千歳屋」の若旦那であった。その若旦那に礼をしてくれとせがまれ、李白が主催する特殊な古書の売り立て会へ参加する。その舞台たる宴会場では「火鍋」と称されるとんでもなく辛い鍋が煮えたぎり、参加者は順々に火鍋を一口食べ、最後まで意識を保った者には望む古書を一冊進呈するというのだ。李白の蔵書の中には、乙女が幼児期に愛読していた絵本「ラタ・タ・タム」かつて乙女が所有していたそのものが収められており、先輩はこれを手に入れようと一念発起、千歳屋との約束を放棄して火鍋へ望んだ。参加者は幻覚を来すほどの辛味に悶絶し、次々に倒れていった。残る2人は先輩と、さっきまで乙女と談笑していた樋口であった。先輩は限界を超える死闘の末に樋口を打ち負かした。ところが勝負が決した直後にあの古本市の神の名乗る少年が現れ、李白の蔵書を「正しき場所」へと戻して見せた。李白の蔵書は「ラ・タ・タ・タム」諸共飛び去っていった。先輩は大慌てで古本市を探し回り、ようやく「ラ・タ・タ・タム」を発見し手を伸ばすが、偶然にも乙女が同時に「ラ・タ・タ・タム」へ手を伸ばした。先輩は巧い言葉をかけられず、本を譲ってその場を後にした。
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