氷崖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 23:55 UTC 版)
ボイジャー1号が1980年にディオネを撮影した際、後行半球の表面を覆う細い構造が存在するのが発見された。この時に判明したのは、これらの構造が高いアルベドを示し、かつその下部にある表面の特徴を隠してしまわないくらいには薄いということのみであり、このような構造が形成される要因は謎であった。ひとつの仮説は、形成直後のディオネは地質学的に活発であり、氷の火山などの現象によって形成されたというものである。この仮説では、氷の火山活動によって衛星表面の大部分が更新され、割れ目に沿った噴出によって形成された筋状の構造と、噴出物が雪や灰のように表面に降り積もった結果として形成されたとされる。その後内部活動と表面の更新が停止し、公転の先行半球には天体衝突によるクレーター形成が継続したため、先行半球での筋状構造を消し去ってしまったと考えられた。 しかしこの仮説は2004年12月13日のカッシーニのフライバイで近距離から画像が得られた際に誤りであることが判明した。これらの細い構造 (wisp) は、実際には氷の堆積物で出来ているわけではなく、地質学的な破砕によって形成される明るい氷の崖であった (カズマ地形)。つまり、ディオネはその後行半球が膨大な破砕地形に覆われた状態の天体であることが判明したのである。 その後2005年10月11日に、カッシーニはディオネから500 km の近距離をフライバイして観測を行った。この時には氷崖を斜め方向から撮影した画像が得られており、これをもとに崖のいくつかは数百メートルの高さを持つことが判明した。
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