死の結果につき殺意があった場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 07:00 UTC 版)
「強盗・強制性交等罪」の記事における「死の結果につき殺意があった場合」の解説
強盗犯人が被害者を強姦し、故意に殺害した場合、どの条文が適用されるかについて争いがある。まず、241条後段に殺意がある場合を含むと考えるか否かに分かれる。 241条後段には殺意がある場合を含むという説によれば、強盗強姦致死罪の単純一罪となる(便宜上A説とする)。含まないという説は、更に強盗強姦致死罪と強盗殺人罪の観念的競合であるとする説(B説とする)、強盗強姦罪と殺人罪の観念的競合であるとする説(C説とする)、強盗強姦致死罪と殺人罪の観念的競合であるとする説(D説とする)、強姦罪と強盗殺人罪の観念的競合であるとする説(E説とする)、強盗強姦罪と強姦殺人罪の観念的競合であるとする説(F説とする)、に分かれる。 通説・判例はF説である(大判大正10年5月13日、既出)。E説も刑事政策上や量刑上は問題ないと考えられ有力説である。しかしそれぞれに批判論点が存在する。A説に対しては結果的加重犯であるという文言に反しているとの、B説に対しては強盗の二重評価との、C説に対しては強盗強姦罪よりも法定刑が軽くなるとの、B説およびD説に対しては人の死の結果について故意によらない場合と故意による場合の矛盾した二重評価であるとの、E説については親告罪の問題(改正前)があるとの、F説については強盗の二重評価や未遂の評価(改正前)、強盗殺人罪の観念(機会説、通説)に問題があるとの批判がそれぞれされている。
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