死の栄ありて生の辱なし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 16:18 UTC 版)
軍をひきいるには、武だけでなく文武を総合し、戦争をするには、剛だけでなく剛と柔とを兼ね備えなければならない。ふつう、世人が将を論ずる場合は、とかく、勇気という観点だけに立ちがちである。しかし、勇気ということは、将の条件の中の何分の一かにすぎない。勇者は、力を頼んで考えもなしに戦いをはじめる。利害を考えずに戦うのは、誉められた語ではない。 そこで、将の心すべきことが五つある。 理(管理) - どんなに部下が多勢いても、それを一つに纏める事である。 備(準備) - 一度門を出た以上、至る所に敵がいる積りで掛かる事である。 果(決意) - 敵と相対したとき、生きようという気持を捨てる事である。 戒(警戒、自戒) - たとえ勝っても緒戦のような緊張を失わない事である。 約(簡素化) - 形式的な規則や手続きを省略し、簡素化する事である。 ひとたび出陣の命令を受けたならば、家族にも知らせずそのまま出撃し、敵に勝つまでは家のことを口にしないのが、将たる者の礼である。いざ出陣というときには、名誉の死はあり得ても、生き恥は晒さないものと心得るべきである。
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