けん‐い〔‐ヰ〕【権威】
権威
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/21 10:16 UTC 版)
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権威(けんい、英語: authority[1], power[1])とは、他者を服従させる威力[2]、ある分野で知識・技術が優れていると信頼されていること[2]、またそのような人[2]。『百科事典マイペディア』では、権威は「現実的強制力をもって服従を獲得する権力の概念と重複する場合も多い」とされる[3]。
概要
自発的に同意・服従を促すような能力や関係のこと。威嚇や武力によって強制的に同意・服従させる能力・関係である権力とは区別されることもある。代名詞的に、特定の分野などに精通して専門的な知識を有する人などをこのように称することもある。
ラテン語の「auctoritas」に由来する語で、その意味は「保証、所有権、担保」であり、他動詞的に用いられる言葉である。より詳しくいえば、1)「追加・後見」、2)「創始・開始」、3)「高齢・個人・人格」という三つの起源的部分観念に基づきつつ、ローマ社会の変遷に応じて構成された概念である[4]。
他者に対して権威的であるためには、その両者がある種の価値体系、規範を共有していることを前提とする。その上で、その価値体系、規範における上位の人・地位・組織などが権威を帯びることになる。権威を生じさせる集団のあり方は様々であり、例えば神秘的、非合理的な宗教団体における教祖と信者の関係でも、合理的研究を追求する研究所内における専門家と研究員の関係でも権威は生じる。
権威は必ずしも個人に付帯するわけではない。ある立場・地位のみが権威化され、そのポジションにおかれた個人そのものに権威がともなわない場合もある。いわゆる権威的な職種に携わる人が、その地位を象徴する制服やバッジを身につける限りは権威を行使できても、そうした装置をひとたび外せば権威が失われるのはその一例である。
ファシズムやスターリニズムに代表される全体主義体制のように、近代的個人の諸権利が完全に否定されているわけではないが、強力な政府のもとで自由主義、個人の諸権利を抑圧しつつ「上からの支配」が行われる政治体制を権威主義体制とも称する。
政治的権威
『百科事典マイペディア』では、民主主義は「支配の権威が民衆に由来し」ており、「君主制,神政政治などと対照的」であるとされている[5][注 1]。
法学修士・社会科学科教授の荻野雄[6]の学術論文によると、近代~現代の国民主権では一般に、政治的権威は国民に由来すると見なされている[7][注 2]。日本国憲法前文にも「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し」ているとある[9]。(法の前文はその法の目的・精神を述べる文章であり、憲法前文は憲法制定の由来と目的・決意などを表明する例が多い[10]。)
権威主義的パーソナリティー
ナチスの残虐行為に対して、権威への盲従ということがしばしば指摘される。ドイツの精神科医、アレクサンダー・ミッチャーリヒにそれについての論考が多い。『人間性なき医学――ナチスと人体実験』、『父親なき社会――社会心理学的思考』などがある。
また、第二次世界大戦中、アメリカに亡命中のフランクフルト学派の共同の調査研究に『権威的性格』という報告書があり、権威に盲従しやすい権威的性格の人の割合は、アメリカでもドイツでも、あまり変わらないことが明らかになり、アメリカでかなりの反響を呼んだ。
心理学者のスタンレー・ミルグラムは、人に命令されたら、それがたとえ他人に命の危険を招くようなものであっても、どれくらいまで人は従うのかを実験して、その実験の倫理的な性格も含めて、「アイヒマン実験」(w:Milgram experiment)と呼ばれた。『服従の心理――アイヒマン実験』というタイトルでまとまって刊行されている。
権威の象徴
実際、権威を象徴しているもので、その権威を指し示したり、あるいはそのものを破壊、否定することで、権威に対する抵抗の意志を示すことも多い。クーデターなどの場合にそれは見られる。権威を代弁、代理すると往々にして思われているのは、王冠、指輪、支配者の銅像などである。日常的な例では、弁護士のバッジや医者の白衣も権威を象徴する道具となり得る。
権威と宗教
宗教は、宗教的な権威、教祖などへの信頼・信仰を前提にしている。まず信ありき、というわけである。キリスト教の場合、日本のキリスト教の文献で「聴従」と訳す語を、世俗文献では盲従(ドイツ語では、Gehorsam)と訳している。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 研究社 新和英中辞典「権威」
- ^ a b c デジタル大辞泉「権威」
- ^ 百科事典マイペディア「権威」
- ^ L. クリーガー 著、川崎修 訳『権威と反抗』平凡社、1988年。
- ^ a b 平凡社 2019, p. 「民主主義」.
- ^ “荻野 雄 (Takeshi Ogino) - マイポータル - researchmap”. 2022年9月25日閲覧。
- ^ 荻野 2021, p. 79,76.
- ^ a b 荻野 2021, p. 79.
- ^ 荻野 2021, p. 81.
- ^ 芦部 & 高橋 2019, p. 35.
参考文献
- 芦部, 信喜、高橋, 和之(補訂)『憲法』(第七版第1刷)岩波書店、2019年。ISBN 978-4000613224。
- 荻野, 雄「政治的リテラシーを高める政治教育のために:高校生専門体験講座での実践から」『教職キャリア高度化センター教育実践研究紀要』第3巻、京都教育大学教育創生リージョナルセンター機構教職キャリア高度化センター、2021年3月31日、75-83頁、ISSN 24345156。
- 平凡社「民主主義」『百科事典マイペディア』2019年 。
関連項目
権威
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 14:15 UTC 版)
国賓や皇族などを外国から招いたときに、儀仗隊の閲兵(栄誉礼受礼)などが行われるが、部隊を統率する士官が、象徴的な杖を手にして、統率する。メイス(mace、元は中世では敵のかぶとを叩き割るのに用いられた槌のこと)といわれるが、これも短い象徴的な装飾のある杖の一種で、中世のヨーロッパでは、君主や宗教的な指導者が、その権威の象徴として手にしたこともある。また、古代ローマ以来の伝統として軍司令官に授与される元帥杖も存在するが、これは一般的な杖よりさらに短いバトンである。 この杖の現代における後身のひとつは、オーケストラの指揮者のタクトである。
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権威
出典:『Wiktionary』 (2021/06/12 23:25 UTC 版)
名詞
発音(?)
- け↘んい
翻訳
- アイルランド語: údarás (ga) 男性
- アフリカーンス語: gesag (af)
- アラビア語: سلطة (ar) (súlṭa) 女性
- アルバニア語: autoritet (sq)
- アルメニア語: հեղինակություն (hy) (heġinakut’yun)
- イタリア語: autorità (it) 女性
- ウクライナ語: влада (uk) (vláda) 女性
- 英語: authority (en)
- エウェ語: ŋusẽ
- エストニア語: võim (et)
- エスペラント: aŭtoritato (eo)
- オランダ語: bevoegdheid (nl) 女性, gezag (nl) 中性
- ギリシア語: εξουσία (el) (exousía) 女性, αρχή (el) (archí) 女性
- キルギス語: бийлик (ky), чоңдор (ky), башчы (ky), авторитет (ky), ыйгарым укук (ky), авторитет (ky), бедел (ky), кадыр (ky), кадыр-барк (ky) негиз (ky), түп (ky), уруксат (ky), авторитеттүүлүк (ky), беделдүүлүк (ky), кадырлуулук (ky), билгич (ky)
- クルド語:
- スウェーデン語: auktoritet (sv) 通性
- スコットランド・ゲール語: ùghdarras (gd) 男性
- スペイン語: autoridad (es) 女性
- スロヴェニア語: avtoriteta (sl) 女性
- スワヒリ語: mamlaka (sw)
- チェコ語: autorita (cs) 女性
- 中国語: 權威 (cmn), 权威 (cmn) (quánwēi)
- 朝鮮語: 권력 (ko) (gweonreok), 권능 (ko) (gweonneung)
- テルグ語: అధికారము
- デンマーク語: myndighed (da)
- ドイツ語: Autorität (de) 女性
- トルコ語: yetke (tr)
- ノルウェー語(ブークモール): myndighet (no) 女性
- ハンガリー語: felhatalmazás (hu), meghatalmazás (hu)
- フィンランド語: auktoriteetti (fi), käskyvalta (fi), vaikutusvalta (fi)
- フランス語: autorité (fr) 女性
- ブルガリア語: власт (bg) (vlast) 女性, авторитет (bg) (avtoritét) 男性
- ヘブライ語: סמכות (he) (samkhut) 女性
- ベラルーシ語: ўлада (be) (ŭláda)
- ポーランド語: autorytet (pl) 男性
- ポルトガル語: autoridade (pt) 女性
- マルタ語: awtoritá
- ルーマニア語: autoritate (ro) 女性
- ルクセンブルク語: Autoritéit (lb) 女性
- ロシア語: власть (ru) (vlastʹ) 女性
- アルバニア語: autoritet (sq)
- アルメニア語: հեղինակություն (hy) (heġinakut’yun)
- イタリア語: autorità (it) 女性
- 英語: authority (en)
- エストニア語: asjatundja (et)
- オランダ語: autoriteit (nl) 女性
- ギリシア語: αυθεντία (el) (afthentía) 女性
- スコットランド・ゲール語: ùghdarras (gd) 男性
- スロヴェニア語: avtoriteta (sl) 女性
- チェコ語: autorita (cs) 女性
- 中国語: 權威 (cmn), 权威 (cmn) (quánwēi)
- 朝鮮語: 권위자 (ko) (gweonwija)
- ドイツ語: Autorität (de) 女性
- トルコ語: yetke (tr)
- ハンガリー語: tekintéy (hu), szaktekintély (hu)
- フィンランド語: asiantuntija (fi)
- フランス語: autorité (fr) 女性
- ブルガリア語: познавач (bg) (poznavač) 男性, авторитет (bg) (avtoritét) 男性
- ヘブライ語: בר-סמכא (he) (bar-samkha) 男性
- ポーランド語: autorytet 男性
- ルーマニア語: autoritate (ro) 女性
- ロシア語: авторитет (ru) (avtoritét) 男性
「権威」の例文・使い方・用例・文例
- 王の絶対的権威
- 彼はフランス文学の権威である
- その分野では随一の権威
- その少年にとって父親とは権威だった
- 彼はエイズ研究の世界的な権威だ
- 彼は若い頃反権威主義な態度をとっていた。
- ローマ教皇の権威
- 権威に卑屈に追従する
- 家父はほかの家族に対して最終的な権威を持っていた。
- 全英オープンは最も権威のあるゴルフ界のプロアマ合同参加競技である。
- 彼は化石学の権威である。
- その教授は冶金学の研究において権威のある人物であった。
- 分析においては、クルツによって最初に分析された権威的行動の類型に負っている部分が大きい。
- 彼らは彼を権威者とみなした。
- 彼は部下に対する権威がない、部下に対して睨みがきかない。
- 彼は天文学、即ち天文の学問の偉大な権威であった。
- 彼は中国に関する権威だ。
- 彼は人文学の権威だ。
- 彼は刑法の権威だ。
- 彼はなかなか権威に屈するような男ではない。
権威と同じ種類の言葉
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