かく‐しゅ【核種】
核種
英語表記:nuclide
原子または原子核の種類を示す用語で、原子番号と質量数で区別されるものをいう。
たとえば、自然界に多く存在するカリウム(元素)は、カリウム-39(93.26%)、カリウム-40(0.0117%)、カリウム-41(6.73%)の同じ原子番号をもつが、これらは質量数が異なるため、それぞれ異なる核種であるという。
この核種のうちカリウム-40は放射能をもつので放射性核種と呼び、他は安定核種と呼ぶ。現在約1250種類ほどの核種が知られており、このうち280種が天然に存在する安定核種である。
普通特定の原子番号Z、質量数A、中性子数N(N=A―Z)の安定あるいは準安定なエネルギー状態をもったものを一つの核種という。ただし、測定できる寿命(10-10S程度以上)をもつものをいい、極端に寿命の短い励起状態あるものは、独立した核種とはいわない。
また、同じ原子番号Zで(すなわち同数の陽子をもつ)、異った個数の中性子をもつ二種以上の原子核がある場合、これら同位体の集合を同位元素とも呼ぶ。
核種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/22 16:07 UTC 版)
核種(かくしゅ、英: nuclide[注釈 1]、または nuclear species[1])とは、原子核の組成、すなわち核の中の陽子の数、中性子の数及び核のエネルギー準位によって規定される特定の原子の種類を言う[2]。米国の核化学者 T. P. Kohman によって提案された[注釈 2]。
注釈
- ^ ラテン語のnucleus(中心部分、中核)から。
- ^ ただし、Kohman の最初の定義には、核のエネルギー状態については考慮されていなかった。現在においては、核異性体は異なった核種として扱われる[3]。
- ^ 例えば、「核種 A と核種 B は同位体である」というように用いる。
なお、核種という言葉が提案されるまでは、同位体という言葉の意味を広く取り、代用語のように用いていたため、同位体という言葉で核種を意味させていることがある。 - ^ すなわち、Z と A を指定することは陽子数と中性子数を指定することに等しい。
- ^ 昔[いつ?]は質量数は右肩に添えられていたが、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の取り決めにより左肩に付されることとなった[3]。
- ^ 原子番号 1 と原子記号 は同じ情報であり、一方が判れば他方は決まるために、原子番号を省略して質量数だけを付け と表記されることもある。また、中性子数は、質量数と原子番号の差から求められるが、明示する場合や、初学者向けなどで丁寧に表記する場合には、中性子の数を右下に添えて のように表記される。
- ^ 日本語圏では、現在でも核種という呼び名は定着しておらず、元素や同位体という言葉で表す核種もある。核種の合成を元素合成と呼ぶ、放射性核種を放射性同位体と呼ぶ、など。
- ^ 例えば、「核種 X と核種 Y は互いに同位体である」という関係で核種 X と核種 Y が結ばれるのであれば、これは X の原子番号と Y の原子番号が等しい(同一元素である)ことを意味する、というように用いられるべきである。
出典
- ^ a b c 小田稔ほか編、『理化学英和辞典』、研究社、1998年、項目「nuclide」より。ISBN 978-4-7674-3456-8
- ^ 同位体と化学(1978) p.1
- ^ a b 核化学と放射化学(1962) p.27
- ^ 長倉三郎ほか編、『岩波理化学辞典』、岩波書店、1998年、項目「異性核」より。ISBN 4-00-080090-6
- ^ a b 吉村壽次ほか編、『化学辞典 第2版』、森北出版、2009年、項目「異核性」より。ISBN 978-4-627-24012-4
- ^ 安斎育郎著『放射線と放射能』ナツメ社 2007年2月14日初版発行 ISBN 9784816342554
- 1 核種とは
- 2 核種の概要
- 3 放射性核種の種類
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