月の国の人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 08:19 UTC 版)
槐(えんじゅ)/戒(かい) 桜を狙う銀髪の男。実は桜の兄・戒。前者は偽名で後者は本名。人間であった頃は、帝曰く美しい顔立ちをしており、たった一人の妹である桜をとても大切に思っていた。 桜を狙う目的は本人曰く「彼女を月へ返すため」で、そのためならば手段を選ばない冷酷な性格の持ち主。その一方で桜をとても大切にしていて、桜を傷つける者は誰であろうと許さない。中納言と手を組み青葉を殺そうとした時も、中納言が放った蛇が桜に噛みついてしまったのを見て激昂、御紙を燃やして仲間であったはずの中納言を殺した。 淡海が「蛇を放ったのは中納言だった」と知ったため、妙なものを飲ませて「このことを誰かに言ったら今飲んだものが破裂する」と脅し、桜を連れて来させようとしたが失敗、桜の目の前で淡海を妖古に変えた上で重傷を負わせ、桜の怒りを買った。 本来は桜の幸せを望む優しい性格の持ち主だったが、「姫を天涯孤独の身にする」という帝の命で水中に幽閉され、永遠にも思える苦しみと絶望を味わう中で、人間を憎むようになった(桜は「帝の命で都へと上った時、流行り病を患い亡くなった」と聞かされた)。以来、性格が変わり、槐と名乗っている。 竜を象った水の塊を使い攻撃する「水竜」という術を持つ。また、禁術を用い、瑠璃条の身体を作った。桜に似せた身体を作った瑠璃条には特別な想いを持っていたが、それが彼女に通じることは最後までなかった。 桜と同様に人間の血を引いているが、月泉水を飲んで刻石を得ることで、自分の中の人間の部分まで否定した。銀髪なのは、月の者としての力を解放した状態にあるためで、この状態を維持するべく月泉水を飲んだと白夜は推測している。 また、様々な場所に埋められているかぐや姫の体のかけら(爪や髪など)を集めて月泉水で蘇生させ、血桜の本来の持ち主である彼女を使って、人間を完全に滅ぼす策を練っている。 しかし、元々自分達を捕らえることを目的としていた朱里の策で仲間を次々と失い、朱里が密かに飲ませた毒に侵されて正気を失った後も多少の自我を残しており、桜の元を襲撃し、朝霧との約束から青葉の呪いを解くため彼を斬って、全てを終わらせるため桜の御紙を焼く。しかし、桜が運命を破ったことがきっかけで正気を取り戻し、復活させてしまったかぐや姫から桜を庇い、血桜で斬られる。その後少しの間本来の戒に戻り、ただ桜を守りたかっただけなのだと明かしたが、最後は瑠璃条を欲して桜の花びらと化した。 瑠璃条(るりじょう) 槐の仲間。桜に瓜二つの容貌を持つ女性の人形(ひとかた)。 もとは、人の生気を吸って生きる瑠璃に似た毒の石だったが、槐の術により器となる体を与えられた。その体が桜を模したものであったために、彼の寵愛を受ける桜を「本物」と呼び、憎しみをぶつける。また、自分が桜の姿をしていることで、槐が優しく接してくれることに感づいている。人間ではないため、精神体となって血桜の中に入り込む事ができる。文字は書けない。 全身に模様を入れているが、これは体を形成する楡の葉などが何かの弾みでばらばらになった際、パーツがはぐれてしまうのを防ぐため(自分の意思でばらばらにして移動することも可能)。また、1日1度は水に全身を浸さないと行動不能に陥る。 作者曰く、周囲の人間の生気を糧としている瑠璃条は「一緒にいる人の影響を強く受ける」という裏設定があり、疾風と密会している間は性格や言葉遣いが疾風に似てきているとのこと。 ある日、朱里の策で疾風との密会現場を槐に見られ、裏切り者として捨てられてしまう。そして「桜の代わりになれなかった」怒りを桜本人に向けるが、身体に描かれていた紋が雨で流れかけていたため、桜との戦闘中に左腕を失い逃亡する。その後、彼女を見つけた桜の「私が主になる」という言葉を受けて、白夜に術をかけなおしてもらい、桜の傍にいるようになった。 以降は疾風を友人として以上に大切に思っていたが、槐を忘れられず、桜を裏切ることも出来ないと悩み、かつて奪われた小指の部分の葉と手紙を疾風に残して屋敷を飛び出す。そして朝霧を斬ったことで心を壊してしまった桜のため、槐と相打ちになる覚悟で血桜を呼び出すも、血桜に拒まれて身体を貫かれ、命を落とした。 舞々(まいまい) 槐の仲間。15歳。可憐な容姿をしている。自分の体にしか興味がないらしい(ただし、ご主人様である槐は例外)。針や紙を用いた攻撃「琴紙弦」を得意とする。命字は「美」。 実は男で、舞々という名前も偽名。本当の名は「でん」。生まれて間もないころに顔に負った火傷の跡を「醜い」と言われいじめられていたが、妖古を村にけしかけようとしていた槐に月泉水で傷跡を治療してもらったことで村を捨てて仲間になった。見た目の美しさに対して激しい執着心を持ち、容姿の醜い人間を馬鹿にしている。 後に、桜のおかげで本来の優しい心の一部を取り戻した。舞々として出会った百合とは美を追求する者同士気が合っていたが、百合が実の姉・りりであると知り、槐が彼女を狙っていることも知って、彼女の幸せを守るために槐を裏切り、逃亡者になることを決める。密かに都を出るため髪を切り、水干をまとって変装するが、最後は、同じように髪を切り、桜に身代わりを頼んでまで屋敷を飛び出してきた百合と共に旅立つことを選んだ。彼が切った髪は、朱里によって「裏切り者を始末した証」として槐に届けられることに。その後、姉を「百合」として育て上げた茜の元で暮らしていたが、桜の危機に姉とともに駆けつけた。桜が月泉水を封じた後は刻石が消え、普通の人間に戻った模様。終盤以降は姉同様藤紫のもとで罪を償うようになった。 右京(うきょう) 槐の仲間。命字は「真」。 長い黒髪を三つ編みに結っている。雪女の村である「雪夜村」出身の数少ない男性。氷や吹雪を生み出して攻撃する。 朝霧と恋人だったが、朝霧が村を壊滅させたため、その後出会った槐から月泉水を貰い、村を滅ぼした朝霧を追う。が、それは朝霧を想っているが故の行動で、最後には槐を裏切ったため、御紙を燃やされ、更に意識を消された桜に血桜で斬られて命を落とした。 過去に村の付近で月長石を掘り当てていて、祝言の時に朝霧に渡すつもりだった月長石の首飾りを、血桜で斬られる直前に渡している。 朱里(しゅり) 槐の仲間。帝から命じられた極秘任務の途中で抜け出した、忍の里の抜け忍で琥珀と同い年。疾風と琥珀の幼馴染であり、青葉の知り合いでもある。また、琥珀に想いを寄せていた。里にいた頃はボブカットだったが、現在は髪が伸び、目の下に隈が出来ている。 同じ任務に就いていた、兄である破斗(はと)を殺したとされ(実際は、槐らの動向を探っていた際に槐に見つかってしまい、取り入って任務を成功させるため、咄嗟に打ち合わせて破斗が火薬で自害)、抜けたことと合わせて追われていた。しかしその真の目的は、里を裏切り、月の者に付くことと、それによる情報収集であった。そのため、芝居を重ねて信用させたうえで月泉水を飲み、表向きは槐の仲間となったが、裏では諜報活動をしており、その中で得た情報は頭領や白夜の元へ届けている。 右京が血桜で斬られた後、策を弄して槐から仲間を奪い孤立させるが、密かに毒を飲ませて自我を奪ってでも槐を含めた関係者を守ろうとした。その後桜が決着をつけたため刻石は消えたが、「一度は槐と共に生きていく道を選んだ以上、すぐには里に戻れない」と、一時琥珀らの元から離れる。桜が蘇生した直後に疾風とともに帰還したが、その際はかつてのように髪をボブカットに戻し、穏やかな笑顔の青年に戻っている。 中納言(ちゅうなごん) 青葉の部下。命字は「望」。 実は妖古で、淡海の両親を殺した張本人。青葉とともに桜を殺そうと企むが、後に青葉を裏切り、槐と結託して襲い掛かった。桜と青葉を毒霧で苦戦させるも槐に御紙を焼かれて絶命する。
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