最近の歴史改変ファンタジー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 18:40 UTC 版)
「歴史改変SF」の記事における「最近の歴史改変ファンタジー」の解説
ファンタジーの多くは、実際の歴史となんらかのつながりを持った世界を設定しているが、そこに魔法が追加されている。魔法があるということは自然法則が異なることを意味し、分岐点がどこにあるかを想像することは難しい。分岐の効果は、人類の歴史だけでなく、生命全体に及ぶと考えられる。歴史は似ているが自然法則が異なる世界を描いた例として、ポール・アンダースンの『魔界の紋章』がある。ほぼ史実通りだが若干変化させている例としてランドル・ギャレットのダーシー卿シリーズ、ラルフ・イーザウの暁の円卓シリーズ、「銀の感覚」がある。 スザンナ・クラークの ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル は、ノーサンブリアに300年以上も続く魔法王国が存在するイギリスを舞台としている。Patricia Wrede のファンタジーでは、イギリスに王立魔術師協会が存在する。ポール・アンダースンの A Midsummer Tempest では、シェイクスピアが偉大な歴史家として記憶されており、小説自体はオリバー・クロムウェルとチャールズ1世の時代に早めに産業革命が起きた世界を描いている。 オースン・スコット・カードのアルヴィン・メイカーシリーズ(末日聖徒イエス・キリスト教会の創設者ジョセフ・スミス・ジュニアの生涯に似た話)は、19世紀初めのパラレルワールドのアメリカを舞台にしている。 キース・ロバーツの『パヴァーヌ』ではエリザベス1世が暗殺され、スペインがイギリスを征服した世界を描いており、技術革新が滞っているが妖精が実在する世界である。 一般にファンタジーでは、魔法が実際に機能するが、それが歴史を改変するほどの効果を発揮しないような設定をすることが多い。多くはルネサンス期かそれ以前に時代設定し、魔法が弱まっているという設定をしていることもある(それが現代に魔法が存在しない説明になっている)。 魔法が現代にもあるという設定の場合、歴史改変とは明確に異なり、いわゆる秘史として描かれる。例としてはロバート・A・ハインラインの『魔法株式会社』、ポール・アンダースンの『大魔王作戦』(大騒動になるので秘史ではない)などがある。 ファンタジー色が濃くなると歴史改変的要素は薄くなる。ただし、文化的背景を現実のものを参考にしていることが多い。バリー・ヒューガートの『鳥姫伝』は全くのファンタジーだが、その文化は中国的であり、武則天など歴史上の人物も登場する。 ダイアナ・ウィン・ジョーンズは並行時間警察のファンタジー版を生み出し、クレストマンシーシリーズ(1977年 - 1988年)に登場させている。特に『魔法使いはだれだ』では、われわれの世界というよりもクレストマンシー自身の世界の歴史改変を鮮明に描写している。 テリー・プラチェットのディスクワールド・シリーズでも何度か歴史改変を扱っている。
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