星団の相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:04 UTC 版)
提案されている中で、最も可能性のある2つの説明は、どちらも星団を構成する恒星同士の相互作用に関係するものである。 1つ目の説明は、青色はぐれ星は現在、またはかつて連星であり、それが融合しつつある、または既に融合したというものである。2つの恒星の融合は質量の大きな1つの恒星を作り出し、星団中の他の星よりもかなり大きくなることもありうる。ヘルツシュプルング・ラッセル図の折れ曲がり点よりも大きな質量を持って誕生した恒星は既に主系列星の段階を終えているが、融合によって大きな質量を獲得した恒星は急速な進化の途上にある。この見方を裏付ける証拠はあり、その代表的なものは、青色はぐれ星は星団の中の密度の濃い部分、特に球状星団の核に存在することが多いという事実である。このような領域には体積当たりの恒星の数が多いため、衝突や接近の確率が他よりも大きくなる。 この仮説を検証する1つの方法は、変光星でもある青色はぐれ星の脈動の観測である。融合した恒星の星震学的性質は、同じような質量と光度を持つ変光星のものとある程度異なる。しかし、青色はぐれ星の変光星の数自体が非常に少なく、脈動の幅も小さく、非常に混み合った場所で発見されることが多いため、脈動の測定は非常に難しい。いくつかの青色はぐれ星は非常に高速で自転していることが分かっている。例えばきょしちょう座47の中には、太陽の75倍の速度で自転する恒星があり、これは衝突によって形成されたとする予測と合致する。 2つ目の説明は、連星として形成された恒星の間で質量転移が起こったというものである。質量の大きい恒星は速く進化し、ロッシュ・ローブを溢れさせる。質量が大きい恒星から小さい恒星にすぐ質量が転移し、恒星の衝突の仮説と似たような状況が起こる。光球に炭素や酸素の割合の少ない恒星が青色はぐれ星がいくつか発見されているのがこの仮説の根拠である。 結局のところ、連星の間の衝突や質量転移によって青色はぐれ星が形成されたことを支持する証拠が示されている。M3やきょしちょう座47、NGC 6752の中では、衝突によってできた青色はぐれ星が星団の中心付近、質量転移によってできたものが外側という風に、どちらの機構でできたものも存在すると考えられている。探査機ケプラーによって、2つの青色はぐれ星の周りに低質量の白色矮星が発見されたことは、この2つの青色はぐれ星は質量転移によって質量を獲得したことを示唆している。
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