日本コロムビア株式会社
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1963年(昭和38年)、放送機器を製作していた日本電気音響が日本コロムビアに吸収合併されたことにより、日本コロムビアが放送機器を取り扱うことになった。当時の日本コロムビア音響設計部門には、旧電音の三鷹事業所と、1910年(明治43年)10月1日に発足した日本蓄音機商会として続いてきた川崎事業所が存在していた。三鷹事業所は業務用回転機器のダイレクトドライブターンテーブルやオープンリールテープレコーダーを担当し、川崎事業所ではテレビ、電蓄、ステレオのほかに、ウクレレ、エレキギター、マリンバなど楽器類、家庭用クーラーや冷蔵庫などの白物家電を1970年代初頭まで製造販売していた。 1970年代に日本でHi-Fi市場が隆盛し、三鷹事業所はデンオン製放送業務用機器のMCカートリッジDL-103や業務用回転機器技術を応用した民生用オーディオ機器を、プロフェッショナルオーディオブランドとして訴求した。この時代で最も有名なモデルはDP-3000ダイレクトドライブターンテーブルやDH-710オープンリールテープレコーダーなどである。川崎事業所はハイファイオーディオアンプやチューナー、スピーカーなどをデンオンブランドで発売した。 合併から20年目を迎えた1983年、三鷹事業所は福島県白河市に拠点を移し「白河事業所」として稼働開始。また分社化の際、「デノン白河工場」→「D&M白河ワークス」に名称変更し、現在もデノンの主要製品がこの工場で製造されている。 1970年代から1980年代にかけてポータブルレコードプレーヤーやカラオケ機器、モジュラーステレオなどのゼネラルオーディオ機器は、OEMで供給した日立製作所は HITACHI ブランドやLo-Dブランドで、三菱電機では DIATONE ブランドやJEAGAM(ジーガム)ブランドでそれぞれ販売した。カラーテレビや家庭用ビデオデッキは日立からOEM供給を受けてコロムビアのブランドで、90年代からは大型テレビのみDENONブランドで1995年頃まで販売した。 また、1995年頃から1998年頃までシャープからカラーテレビ、CDラジカセとポータブルMDプレーヤーのOEM供給を受け、前者はコロムビアブランド、後者はDENONブランドでそれぞれ販売していたことがある。 乳幼児の情操教育向上を目的として1974年に発売されたポータブルレコードプレーヤー「てんとう虫」(SE-8)を皮切りに電子オルガン内蔵型ポータブルレコードプレーヤー「ラララ」、カセットデッキ・ラジオ内蔵型ポータブルレコードプレーヤー「コンビ」、そして1979年発売の「うたうパンダ」(SE-7M)と言った後世に残る製品が次々と生まれた。また1980年3月に発売されたポータブルレコードプレーヤー「フリースタイル」(GP-3)はアナログレコードからCDに世代交代していく中でも細々と生産が続けられていたが、1995年にリリースされたスピッツのシングル「ロビンソン」のMVやジャケットの小道具として使用されたのがきっかけで派生モデルが生産されるほどの絶大な人気を呼び、デノンへの分社化以降も2005年頃まで製造された。また2019年12月には太知ホールディングスより本機の復刻版「GP-N3R」として、ディーアンドエムホールディングスの了承のもと、カートリッジをオーディオテクニカ製のVM型に、ターンテーブルの駆動部をアイドラードライブからベルトドライブにそれぞれ変更し、イヤホン端子にステレオヘッドホンを繋げばステレオ再生が可能とするなど一部の仕様を変更した上で製造および販売を開始している。 ポータブルレコードプレーヤー「フリースタイル」(GP-3) DENONで特長的製品は、1972年(昭和47年)に世界で初めて実用化したPCMレコーダー「DN-023R」である。NHKが1960年代後半にPCMレコーダーを試作をしており、NHK放送技術研究所で試作機を見た日本コロムビア録音部の幹部は自社開発を企図した。標本化周波数 47.25kHz、量子化ビット数 13bit で誤り検出訂正を実用化したPCMプロセッサーを開発し、芝電気株式会社製のヘリカルスキャン方式2インチVTRを改造したテープレコーダ部分に実装した。画面を見ながらカミソリでテープ切断する「手切り編集」が可能だった。 1980年代は、栃木県真岡市で子会社のコロムビアマグネプロダクツ株式会社がオーディオカセットテープ(コンパクトカセット・DATカートリッジ)を製造していたが、1990年代末に撤退し子会社は解散した。 7L-10 オープンリール・モノラルテープレコーダー
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