操舵室
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 14:14 UTC 版)
操舵室内の配置は十和田丸(2代)に準じたもので、船体中心線上には操舵スタンドがあり、津軽丸型と同じく大型自動車のハンドルを舵輪として装着したジャイロパイロットが内蔵されており、このハンドルで手動操舵できたほか、船首方向を決めて自動操舵にすれば、横方向からの外力が働いても常に船首が指示方向を向くよう操舵できる装置で、青函連絡船では津軽丸(2代)から装備されていた。 その左にはプロペラ制御盤があり、両舷の推進用可変ピッチプロペラの翼角を前後に動かして遠隔操縦する2本のプロペラ翼角操縦レバーと、その間の手前側にはバウスラスターの翼角を遠隔操縦する回転式のグリップハンドルがあり、そのハンドルの向こうにはバウスラスターの実際の翼角だけを示す丸い翼角計が、ハンドルの両側には両舷の推進用可変プロペラの実際の翼角を示し、さらに外周には指令した翼角が示される丸い翼角計が配置された。この翼角計の向こう側、即ちバウスラスター翼角計の両側には、推進用可変ピッチプロペラの遠隔操縦装置が全て故障した時、可変ピッチプロペラ管制装置のある第3補機室へ翼角指令を出すプロペラテレグラフのグリップハンドルが設置されていた。制御盤手前の最も手前には、非常用として設置されたノンホローアップ式(スイッチを倒した方向へ翼角が進み続け、目的の翼角でスイッチを中立に戻すと進みが停止する)の両舷の推進用プロペラとバウスラスターの翼角操縦スイッチや、これら常用・非常用の切換スイッチ等が横1列並びに配置されていた。 プロペラ制御盤の奥の斜面部分には両舷主軸回転数計と、その間にバウスラスター駆動電動機電流計があり、この電流計の両側に、津軽丸型ではデジタル表示の各舷の稼働主機台数表示器があったが、渡島丸(2代)からは個々の主機械の稼働状況を示す左右4個ずつの電光表示ランプとなったため、実際にどの主機械が稼働しているのかがわかるようになった。さらに操舵室左舷端には補助操縦スタンドがあり、離着岸時、船長が接岸する左舷側を目視しながら、直接バウスラスターや両舷プロペラの翼角制御ができるようになっていた。プロペラ制御盤の主レバーと左舷の補助レバーの間には切換えスイッチはなく、常に後から操作したレバーの指令に従う仕組みで、この方式は十和田丸(2代)から採用されていた。また八甲田丸以降建造の青函連絡船同様、推進用可変ピッチプロペラの翼角操縦レバーをいきなり大翼角まで進めても、主機械に過負荷がかからないよう予め設定された負荷の範囲内で翼角を進め、過負荷がかかった場合は翼角を戻す機能もある“過負荷防止装置”が装備されていたが、本船からは、いきなり大翼角指令を出しても、船速ゼロでも過負荷にならない翼角16度までは3〜5秒で進み、以後はゆっくり進む“2段変速制御”も採用された。 津軽丸型7隻では、操舵室内で、第2レーダー指示器と並んで設置されていた船位自動測定装置(SPレーダー)は既にこの時期使用されておらず、渡島丸型では設置されなかった。このためレーダーポスト兼用の前部マスト頂部には円筒形の“ラドーム”はなく、第1レーダー用の通常の反射型のスキャナーが設置され、中段の第2レーダー用にはスロット型が設置された。 操舵室後壁には、津軽丸型同様、水密辷戸遠隔操作盤や火災警報表示盤非常操作盤、その他の警報表示盤等がはめ込まれていたが、ボイスアラームは省略された。
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