「撤退」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

撤退とは? わかりやすく解説

てっ‐たい【撤退】

読み方:てったい

[名](スル)軍隊などが、陣地拠点引き払って退くこと。「海外市場から—する」


【撤退】(てったい)

withdraw / retreat

軍隊が、ある地域での作戦行動中断し展開した部隊帰還させる事。
現地構築され兵站網を撤去し資材などもまとめて組織的計画的に帰投する。

基本的には、作戦目的完遂不可もしくは無意味判断され時に発令される
上級指揮官からの正式な命令がなく、現場指揮官勝手な判断行われた撤退は敵前逃亡として軍法会議対象となる。

整然と帰投できずに甚大な混乱生じた場合は特に「潰走」「敗走と言う
また、作戦目的完遂理由として帰還する場合は「凱旋と言い、撤退とは区別される

行う行動性質上、撤退中に戦闘発生する兵站不備なまま戦う事を余儀なくされる
事実近代以前戦争では死傷者のほぼ全て撤退する敵への追撃発生していたという報告もある。

このため最前線からの撤退は攻撃を受けにくい夜間行われる事が多い。
また、撤退中の攻撃遅延させるために地雷IED狙撃手などを配備しておく事も多い。
無傷での撤退が不可能と目される場合再編成までの時間を稼ぐために別働隊死守を行う事もある。

前線からの撤退は、指揮官与えられる任務として最も難しいものの一つとされる
作戦行動要訣である「事前周知の徹底」が極めて困難なためである。
撤退の計画が敵のスパイ察知され場合、まず間違いなく奇襲受けて甚大な被害生じる。
そして時間をかけて周知徹底すればどうあってもスパイ察知される事は避けられない
そのため、撤退命令突如として下される事が多く多く場合交通渋滞などの大混乱引き起こす

加えて戦時軍隊は「何故そこにいるのかわからない兵士・部隊」を敵であると仮定して行動する
このため、撤退などの予定行動を取る兵士部隊が敵だと誤認されて誤射発生する事がある

関連玉砕 死守


撤退

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/20 00:50 UTC 版)

アドルフ・ノーザン 1851年画
ナポレオンのモスクワからの退却』
(1812年)

撤退(てったい retirement and/or withdrawal)とは、戦略においてある部隊が敵地における作戦地域から部隊を後方へ移動すること。戦術論における後退行動とは異なる概念である。

語源

withdrawal
もとは、銀行からお金を引き出すという意味の、1640年代のwithdrawment、14世紀のwithdraught が語源である[1]
ラテン語
abscedere(abs(離れて) +cedere(行く))から撤退の意味となる[2]

戦争上における撤退

日本語ではダブルスピークとして転進と言い換えられたこともある。

もし敵が攻勢に出ている場合、もしくは作戦地域の治安が極度に悪化している場合、全軍撤退の最終段階において、作戦地域に残っている部隊は戦闘力の低減が避けられないために一時的に危険な状況に置かれる。

撤退はその地域を保持できなくなったためという負の意味合いが強く、軍事的、政治的に勝利を収め、その地域を保持する必要性がなくなって部隊が引き上げる場合は撤収ということが多い[3]。ただし両者は同義である。

  • 例:米軍1973年ベトナムより撤退した。
  • 例:米軍は対ソ戦略拠点としての意味を失ったアイスランドから撤収した。
  • 例:2021年9月、アメリカ軍はイラクでの戦闘任務を終了した。撤退撤収)はせず、引き続きイラクでの訓練・支援・助言に当たる。

一部の新聞社等では、特に自衛隊において撤兵という表現をすることもあるが、これは定義された用語ではない。

退き口(のきくち)
戦国時代では、退き口と呼ばれる。

戦略的撤退(Tactical withdrawal)

撤退はするが、敵に多くの出血を強いるための撤退であり、ブービートラップを仕掛け、砲撃地点へ誘導し、焦土作戦などを行った。

偽装退却(Feigned retreat)

古今東西で使用されている戦術であり、撤退に見せかけて実際には戦闘に有利な状況に持ち込むための機動である。

敗走(Rout)

戦いに負け、逃げる状態を敗走という。さらに、部隊の秩序(指揮系統)が失われ、混乱状態の個々人で逃げる状態を潰走(かいそう)、英語では routed、broken、fled the field などの表現が見られる。秩序を持って計画的に退却を行う場合は、retiring from the fieldや、withdrawal という表現が使用される。

企業における撤退

複数の事業を展開したり複数の地域で事業をする企業が、不採算などを理由に特定の事業や地域から携わることをやめる場合を「撤退」と呼ぶことがある。事業や地域からの撤退には主に2つある。

  1. 当該事業組織を他の企業へ売却する(事業売却による撤退)
  2. 当該事業そのものを清算する(清算による撤退)

特に製造事業の撤退の場合は、製造物責任法(日本)などの法律により、過去の製造物に対してメンテナンスや消耗品販売、不備が発生した際や使用済みの製品回収などの責任を一定期間負わなければならないことが社会的に求められる。事業売却による撤退の場合、こういったメンテナンスに関するサービスごと他者に売却することが多い。一方、清算による撤退の場合、撤退後も自社でメンテナンス部門をおいておく必要がある。

同様に保険事業に代表される将来のサービスを契約する事業の場合も、既存契約の継承先をどこにするか決定する必要がある。

交通機関において複数社による共同運行を行っている(いた)路線では、過去に運行を行い現在は撤退した事業者も、予約・発券業務や運行支援等は引き続き関わる場合も多い。商品やサービスに限らず、スポーツ界でも選手の獲得、企業やチームの継続参戦、大会の招致を断念する意味でも用いられる。

出典

  1. ^ withdrawal
  2. ^ 由来とつながりがわかる 英単語語源マップ 著者: 臼井俊雄
  3. ^ 名誉があるのは「撤収」か「撤退」か 産経新聞 更新日:2021/9/12

関連項目

  • 戦争
  • 清算
  • 撤収
  • カタバシス英語版 - ギリシャ語で「下がって行く」の意。下り坂を下に行くことや、太陽が降りる事、軍隊が退却すること、冥界に行くことを意味する。逆に上ることをアナバシスという。

撤退(Withdrawal)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 14:19 UTC 版)

水陸両用作戦」の記事における「撤退(Withdrawal)」の解説

自軍物資民間人撤退させる作戦

※この「撤退(Withdrawal)」の解説は、「水陸両用作戦」の解説の一部です。
「撤退(Withdrawal)」を含む「水陸両用作戦」の記事については、「水陸両用作戦」の概要を参照ください。

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撤退

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 09:16 UTC 版)

名詞

撤 退てったい

  1. 陣地などを取り払い退くこと。

発音(?)

てっ↗たい

動詞

活用

サ行変格活用
撤退-する

「撤退」の例文・使い方・用例・文例

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