せっしょく‐ほう〔‐ハフ〕【接触法】
接触法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/18 01:58 UTC 版)
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接触法(英語: contact process)は、工業プロセスに必要な高濃度の硫酸を製造するために現在使われている方法である。二酸化硫黄ガスと空気とを混ぜた混合ガスを触媒に当てて酸化させ、できた三酸化硫黄を水に溶かして硫酸とするものである。この方法は1831年にイギリスの酢の商人Peregrine Phillipsにより特許が取得された。以前の鉛室法よりもはるかに経済的に濃硫酸を生産できるのに加え、三酸化硫黄と発煙硫酸も生産可能である。
触媒の変遷
かつて接触法による硫酸の製造には高価な白金が触媒として使われていたが、硫黄原料中に含まれるヒ素や塩素等の不純物と反応しやすいため、1915年にドイツの Badische 社(現・BASF社)が開発した五酸化バナジウム (V2O5) 触媒の登場・進展とともにバナジウム系触媒への転換が急速に進み、白金触媒は姿を消した[1]:1。硫酸を日あたり1トン生産する場合、白金系触媒では白金換算で370 - 500 g要し、二酸化硫黄の転化率も92 - 94 %止まりだったのが、酸化バナジウム系触媒では五酸化バナジウム換算で10.5 kg要するものの安価であり、二酸化硫黄の転化率も96 - 97 %と、白金系触媒よりも優秀である[1]:1。日本においては1930年に松井元太郎が硫酸触媒の研究を開始し、1935 - 1936年に掛けてアルカリ金属とアルカリ土類金属を含む酸化バナジウム系触媒を完成させた。この触媒を用いて1937年にヲサメ硫酸工業(後の日本触媒)にて国産初の硫酸触媒の工業化がなされ、三井染料(現・三井化学)に納入された[1]:1。
過程
接触法は5つの段階に分けられる。
- 硫黄と酸素 (O2) を結合させて二酸化硫黄を作る。
- 浄化ユニットで二酸化硫黄を洗浄・乾燥する。
- 五酸化バナジウム触媒の存在下で450°C、1-2 atmで過剰な酸素を 二酸化硫黄に加える。
- 作られた三酸化硫黄を硫酸に加え、発煙硫酸(二硫酸)を生成する。
- 次に発煙硫酸を水に加えて非常に濃度の高い硫酸を作る。
触媒被毒(すなわち触媒活性の除去)を避けるには、空気と二酸化硫黄の混合ガスから触媒被毒の原因物質であるヒ素や鉄分[1]:3、その他の重金属、ハロゲン、低沸点金属元素、そして詰まりの原因となる煤塵を取り除く措置(浄化)が必要である。この目的のため集塵機を通した後の混合ガスを冷却後、水で洗浄する。また混合ガス中の水分は系内で酸化された三酸化硫黄と反応して細かい霧状の硫酸ミストになり濃硫酸には吸収されずに排ガス中に逃げてしまう[2]ことから、水で洗った後の混合ガスは濃硫酸で乾燥させる。
エネルギーの効率的な利用のため、空気と二酸化硫黄との混合ガスは、洗浄・脱水後に熱交換器による触媒コンバーターからの排気ガスを通じた熱交換器により、反応至適温度である450 °Cまで昇温する。
二酸化硫黄と二酸素は次のように反応する。式中のエネルギー (ΔH) はエンタルピーであり反応熱とは符号が逆であることに注意されたい。以下は発熱反応である。
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