挿管操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 03:42 UTC 版)
挿入経路は大別して経口挿管、経鼻挿管があるが、一般的に経口が多い。口腔内手術の際等に経鼻挿管が行われる。 手術などで一般的に行われている、喉頭鏡を用いた経口的な気管挿管について記す。 気道の評価挿管が行いやすいかどうか評価する。気道確保困難(後述)が予想されれば、適した気道確保デバイスを用意しておく。 器具の準備気管内チューブの先端バルーンにシリンジで空気を送り、漏れがないか確認する。必要に応じてスタイレットを挿入し形状を整えておく。また、喉頭鏡のライトが点灯することを確かめる。その他、吸引器を含む必要な器具を準備しておく。 マスク換気バッグバルブマスク(Bag valve mask)に100%酸素を送気し十分な換気を行う。これにより、挿管操作中の無換気状態でも数分間は低酸素状態を予防できる。ただし食後等で胃に内容物がある状態(full stomach)の患者に施行する場合はマスクによる換気は行わず、別の介助者に輪状軟骨圧迫(cricoid pressure)を行ってもらい食道閉鎖を行ってもらう(ガイドライン2010では、輪状軟骨圧迫は行わないこととされている)。 その他の前処置開口させ、口腔内に異物等がないことを確認し、あれば取り除く。 患者に意識がある場合、喉頭鏡による喉頭の観察や気管挿管は苦痛を伴うため、鎮静薬や鎮痛薬を投与する。 喉頭展開左手で喉頭鏡を持ち、喉頭鏡のブレードを開口器として用い、咽頭の後壁、および喉頭蓋を観察する。ブレード先端を喉頭蓋にかける、あるいはブレード先端で喉頭蓋の基部を圧迫することにより喉頭蓋を挙上し、喉頭を展開する。声門が見えれば理想的である。 構造の同定が難しい場合、前頸部に圧迫を加えることで視野が良くなる場合がある。 挿管喉頭蓋を目視にて確認しながら、右手で気管内チューブを喉頭に挿管する。挿管したら直ちにスタイレットを抜去し、先端バルーンにシリンジで空気を送り固定する。 なお、マスク換気から挿管にかけての頭頸位は頭を枕の上において後屈(進展)させた状態にする。この頭頸部の姿勢が空気を吸い込んでいるときの姿勢に似ているので、スニッフィングポジション(スニッフィング位・嗅ぐ姿勢)と呼ばれる。口から声門までが一直線に近づくので、気管挿管およびフェイスマスクを用いた換気の際には最適とされている。 換気の確認チューブに送気しながら聴診器にて両肺・胃を聴診し換気音を確認する。片方の肺でのみ換気音が聴取された場合、片肺挿管になっていることが考えられ、胃にゴボゴボという音が聴取された場合、気管ではなく食道に挿管されていることが考えられる。カプノグラムによって換気を確認することや、気管支ファイバースコープや胸部X線撮影にてチューブの位置を確認することも可能である。チューブの位置は手術時の体位変換等により変わってしまうことがあるため再確認することが望ましい。 チューブの固定挿入長を調整し、テープ等にて口角に固定する。
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