折衝
読み方:せっしょう
折衝(せっしょう)とは、利害の一致しない相手と、問題の解決に向けて、話し合いなどの手段によって駆け引きすること。双方が納得できるように互いの要求をすり合わせ、落とし所を探り、折り合いを付ける、そうした営みと解釈される。ビジネスシーンから外交・国際政治の分野まで、幅広い文脈で用いられる。
「折衝」の語に対応する英語表現としては negotiation(ネゴシエーション)が挙げられる。ただし negotiation は日本語の「折衝」の他に「交渉」のニュアンスも含む。必ずしも、折衝の「落とし所を見つける」というニュアンスが伴うとは限らない。
折衝は、中国の古典である「晏子春秋」から生まれた故事成語である。晏子春秋は、春秋時代の中国で斉の宰相を務め、策略に長けた名臣として知られる晏子の言行を記録した典籍である。その中で。隣国晋と晏子らの駆け引きに関して孔子が晏子を評価した言葉が、「折衝」の語源となった。斉に攻め入りたい晋が高官を派遣し、様子を探るべく酒席で斉の君主に対しわざと礼儀を欠いた行いをしたところ、同席していた晏子らが大国である晋に臆することなくその行いや要求をはねのけたのである。
この斉の毅然とした対応を受けて晋は斉を攻めることを諦めたが、これについて孔子は、「夫不出於尊俎之間 而知千里之外 其晏子之謂也 可謂折衝矣」と発言し、酒の席から相手を見通し矛先を折くとはまさしくこの事で、さすが晏子の手腕だとして評価した。折とは、「くじく」と読み、利害の相反する相手の攻撃をはねのけることを意味し、衝とは、当時の中国で戦に用いられていた戦車を指す言葉で衝いてくる矛先を意味する。これらのやり取りが転じて、利害が一致しない相手と駆け引きし折り合いを付けるといった意味の折衝という言葉が生まれたとされている。
折衝は本来公の場における正式な協議を指す言葉で、国と国の外交交渉といった政治の場や企業同士の問題解決といったビジネスシーンで使われるが、特にビジネスにおいてはその他にも、顧客や取引先、社内など利害関係の対立する相手と折衝する場面は多い。その際必要となる、要求を適切に伝える力や双方の妥協点を見つけできるだけ有利に相手と折り合いを付ける力を俗に「折衝力」という。折衝力を活かした業務としてあらゆる利害の一致しない相手との駆け引きを行う折衝業務があり、納期や金額、内容などについて調整にあたり合意を目指す顧客折衝や、企業にとって欠かすことのできない資金面における調整など重要な役割を担う銀行折衝などが挙げられる。
正式な協議に入る前に問題がないか確認したり要望項目をチェックしたりする予備折衝や事務レベルの実務的な部分をすり合わせる事務折衝なども行われる。また、折衝力には、折衝において合意点や妥協点を模索し折り合いを付けるための折衝案を提案する力や調整する能力も求められる。似た言葉で折衷案とも言い、2つの案の良いところをピックアップして1つの案にまとめたものを指し、利害の対立する要望の間をとって折り合いを付けることを目指す案を意味する。
折衝の類義語としては「交渉」が挙げられる。どちらも妥協点や合意点を見つけるために意見のすり合わせを行う意味を持つことから違いが分かりにくく、しばしばビジネスシーンなどで混同して用いられがちだが、主な折衝と交渉の違いはお互いの利害関係が一致しているかという点である。利害関係になく目的のためにお互いが納得できるよう話し合うことが交渉であり、利害の一致しない相手に対して有利になるよう事を運ぶのが折衝である。また、より正式で複雑な協議には折衝が用いられ、交渉は個人間での話し合いなどにも広く使われるという違いもある。
その他、似た言葉に「談判」があるが、これも様々な取り決めを目指した話し合いを意味し、決着をつけるといったニュアンスを含むことから基本的に折衝と同様、利害の一致しない場合に使われる。「駆け引き」や「取引」、「掛け合い」なども要求について有利になるように働きかけるといった意味を持つ言葉である。これらの反対の意味の言葉としては、要望のために落としどころを模索せずに強引に進めるといった意味合いになることから、目的達成のために話し合いではなく腕力などで実際の行動に出ることを指す「実力行使」などが挙げられる。
折衝(せっしょう)とは、利害の一致しない相手と、問題の解決に向けて、話し合いなどの手段によって駆け引きすること。双方が納得できるように互いの要求をすり合わせ、落とし所を探り、折り合いを付ける、そうした営みと解釈される。ビジネスシーンから外交・国際政治の分野まで、幅広い文脈で用いられる。
「折衝」の語に対応する英語表現としては negotiation(ネゴシエーション)が挙げられる。ただし negotiation は日本語の「折衝」の他に「交渉」のニュアンスも含む。必ずしも、折衝の「落とし所を見つける」というニュアンスが伴うとは限らない。
折衝は、中国の古典である「晏子春秋」から生まれた故事成語である。晏子春秋は、春秋時代の中国で斉の宰相を務め、策略に長けた名臣として知られる晏子の言行を記録した典籍である。その中で。隣国晋と晏子らの駆け引きに関して孔子が晏子を評価した言葉が、「折衝」の語源となった。斉に攻め入りたい晋が高官を派遣し、様子を探るべく酒席で斉の君主に対しわざと礼儀を欠いた行いをしたところ、同席していた晏子らが大国である晋に臆することなくその行いや要求をはねのけたのである。
この斉の毅然とした対応を受けて晋は斉を攻めることを諦めたが、これについて孔子は、「夫不出於尊俎之間 而知千里之外 其晏子之謂也 可謂折衝矣」と発言し、酒の席から相手を見通し矛先を折くとはまさしくこの事で、さすが晏子の手腕だとして評価した。折とは、「くじく」と読み、利害の相反する相手の攻撃をはねのけることを意味し、衝とは、当時の中国で戦に用いられていた戦車を指す言葉で衝いてくる矛先を意味する。これらのやり取りが転じて、利害が一致しない相手と駆け引きし折り合いを付けるといった意味の折衝という言葉が生まれたとされている。
折衝は本来公の場における正式な協議を指す言葉で、国と国の外交交渉といった政治の場や企業同士の問題解決といったビジネスシーンで使われるが、特にビジネスにおいてはその他にも、顧客や取引先、社内など利害関係の対立する相手と折衝する場面は多い。その際必要となる、要求を適切に伝える力や双方の妥協点を見つけできるだけ有利に相手と折り合いを付ける力を俗に「折衝力」という。折衝力を活かした業務としてあらゆる利害の一致しない相手との駆け引きを行う折衝業務があり、納期や金額、内容などについて調整にあたり合意を目指す顧客折衝や、企業にとって欠かすことのできない資金面における調整など重要な役割を担う銀行折衝などが挙げられる。
正式な協議に入る前に問題がないか確認したり要望項目をチェックしたりする予備折衝や事務レベルの実務的な部分をすり合わせる事務折衝なども行われる。また、折衝力には、折衝において合意点や妥協点を模索し折り合いを付けるための折衝案を提案する力や調整する能力も求められる。似た言葉で折衷案とも言い、2つの案の良いところをピックアップして1つの案にまとめたものを指し、利害の対立する要望の間をとって折り合いを付けることを目指す案を意味する。
折衝の類義語としては「交渉」が挙げられる。どちらも妥協点や合意点を見つけるために意見のすり合わせを行う意味を持つことから違いが分かりにくく、しばしばビジネスシーンなどで混同して用いられがちだが、主な折衝と交渉の違いはお互いの利害関係が一致しているかという点である。利害関係になく目的のためにお互いが納得できるよう話し合うことが交渉であり、利害の一致しない相手に対して有利になるよう事を運ぶのが折衝である。また、より正式で複雑な協議には折衝が用いられ、交渉は個人間での話し合いなどにも広く使われるという違いもある。
その他、似た言葉に「談判」があるが、これも様々な取り決めを目指した話し合いを意味し、決着をつけるといったニュアンスを含むことから基本的に折衝と同様、利害の一致しない場合に使われる。「駆け引き」や「取引」、「掛け合い」なども要求について有利になるように働きかけるといった意味を持つ言葉である。これらの反対の意味の言葉としては、要望のために落としどころを模索せずに強引に進めるといった意味合いになることから、目的達成のために話し合いではなく腕力などで実際の行動に出ることを指す「実力行使」などが挙げられる。
せっ‐しょう【折衝】
折衝
「折衝」の例文・使い方・用例・文例
- 政治折衝の巧みさ
- 顧客と技術的な折衝を行う。
- 私たちは新しい会社と折衝した。
- あれほど難航していた交渉を2日間でまとめあげた折衝力には、恐れ入りました。
- 地元住民と政府調査官の間に折衝がありました。
- 交渉はまだ事務折衝の段階だ.
- 事件は目下折衝中だ.
- 協定の成立にはまだかなりの折衝を要する.
- 先方と直接に折衝した方が好い
- 僕が折衝の任に当たろう
- 再三折衝を重ねてようやく妥協が成立した
- 樽俎の間に折衝する
- 彼は樽俎の間にて折衝して難関を切り抜けた
- 樽俎の間に折衝して偉勲を奏した
- (明治初年に)藩と政府との折衝にあたる公用人という役職
- 公用人という明治初年に藩と政府との折衝にあたった人
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