恒温と変温
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 10:18 UTC 版)
温血動物(warm blooded animals)という言葉が暗に示すように、恒温性はかつては哺乳類・鳥類に固有かつ普遍の特殊形質であると思われていた[独自研究?]。しかし、哺乳類・鳥類以外にも様々な生物で様々なレベルの体熱産生を伴う能動的な体温調節の例が発見され、哺乳類・鳥類においても、ナマケモノやカッコウのように変温動物といっていい体温調節を行うものがあることが知られるようになった[独自研究?]。「哺乳類は恒温動物」・「魚類は変温動物」のように単純に2分類することや、ある生物をさして厳密な定義なしに恒温生物か変温生物かを議論することは少なくとも科学的とは言えないものである[独自研究?]。 ある生物の体温調節能力や機構を調査することはともかくとして、生物の体温調節能力を恒温と変温に分類することは特に意味があるわけではないので、学問的に厳密な定義を提唱することは近年行われていない。つまり、変温〜内温〜恒温は連続的であり、明瞭に線引きできるものではないし、されていない[独自研究?]。 このような煩わしい議論や定義付けを避けるため、近年は“体温が主に代謝熱で維持されている”という意味での「内温性」「内温性動物」や、「高度な体温調節能力がある」といったような表記で留める例が増えている[要出典]。哺乳類・鳥類以外の生物を記述するときに、あえて「恒温性」と表現し、高度な体温調節機能があることを強調することもある[要出典]。 恒温が「恒に体温を一定に保つ」ことと考えるなら、そのような動物は発見されていない。「積極的な体熱産生と放散を伴って能動的にある範囲に体温を保つ」こととするならば、動物では様々な分類群に分布する(珍しくもない)生理特性である[独自研究?]。例えばウミガメ、ネズミザメ類やマグロ類、昆虫類にはほぼ一定の体温を保ち、0℃の気温や、10℃の冷水の中でも活発に活動するものがある[独自研究?]。この時の体温はヒトやセイヨウオオマルハナバチでは40℃付近であるが、アカウミガメで23℃付近、ホホジロザメで26℃付近と比較的低い。つまり、アカウミガメやホホジロザメは“冷血”の“恒温動物”である[独自研究?]。また、カツオやアキアカネ、カモノハシ、カッコウ等の活動時体温は外水(気)温よりも5〜10℃以上高く、40℃に達することもあるが、外温や運動の有無で体温が浮動し安定しない。つまり“温血”の“変温動物”である[独自研究?]。このことからもわかるように、よく見る右図のような温度分布図は、その時の体温の高低を示しているに過ぎず、恒温動物と変温動物との差を象徴的に表すものではない。温血動物という言葉が用語として不適切なゆえんでもある[独自研究?]。 植物においてもザゼンソウ、ヒトデカズラ(Philodendron selloum)、ハスなど、花器を開花期間中一定の温度に保つものが存在する[独自研究?]。例えばザゼンソウでは4℃から15℃の外気温中で、肉穂花序の温度を24℃±1℃以内に保つが、これは多くの哺乳類や鳥類の体温日周変動幅より小さい[独自研究?]。ただし、植物や昆虫における体温維持は花器や胸部など必要な部分および期間のみであることが多い[独自研究?]。なお、鳥類や哺乳類も厳密な意味では全身の体温を保っているわけではない。耳介や足先などは大きく体温が変動する[独自研究?]。ただし、日周変動の幅が1℃以内の体温(ヒト程度)を生涯保つような種の多くは、哺乳類か鳥類である[独自研究?]。 ウミガメやマグロでは若齢個体は典型的な変温動物であり、成長するに従って体温調節能力が上がる。哺乳類や鳥類でも小型の若齢個体の体温調節機能は不完全で体温変動幅が大きいことが多く、親の庇護や温暖な環境で成長する。成体の体温も一定ではなく、休息時、活動時、生殖時、疾病時、部位などで体温が異なるのは一般的であり、場合によっては大きく異なる(異温性)[独自研究?]。 例えばカモやツルなどの低温地域に住む鳥類では足の体温が外気温程度まで低下することは珍しくなく、冬眠時のヤマネや小型コウモリ等の体温は全身において外気温に近いところまで低下する[独自研究?]。ハチドリや小型コウモリでは活動時の体温は40℃程度だが睡眠時は外気温程度まで低下するものがある[独自研究?]。 この程度の体温制御を行う昆虫はヤンマやスズメガをはじめとして数多く存在する[独自研究?]。すなわち、ハチドリやコウモリが異温性の恒温動物であるとするならば、ヤンマやスズメガも恒温動物といえる[独自研究?]。ナマケモノやカッコウに至っては外気温や運動の有無により活動時の体温すら大きく変動する。ここまでくると恒温動物とは言えないであろう[独自研究?]。ミツバチは産卵から死亡時まで体温を30℃以上に保つ。しかも、10℃以下では動けなくなり、それが一定期間以上続くと死亡する[独自研究?]。セイヨウミツバチは1種で熱帯から極地まで分布し、アイスランドの厳冬下でも巣外活動こそ行わないが冬眠することはない。蓄えた食料で産卵・育児さえも行う。つまり、多くの哺乳類や鳥類よりも恒温動物的に活動するのである[独自研究?]。しかし、ミツバチは巣内活動時では体温を主に体外の気温(=巣内温)によっているため、恒温動物どころか内温動物にも入れないことが多い[独自研究?]。
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