庭園の造形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 07:47 UTC 版)
「蓮華寺 (京都市左京区)」の記事における「庭園の造形」の解説
庭園の奥には水量の豊かな湧水があり、それを導いた池が庭園の中心にある。池は「水」の字の形に作られており、「水字形」と呼ばれるものである。池の右手前には舟石(ふないし)と呼ばれる石が配されている。舟石を置く庭園は稀少であるが、とりわけ蓮華寺の舟石は入舟の形をしている点でさらに珍しいものとなっている。舟石を置く庭園のほとんどでは、出舟の形があしらわれている。出舟とは、向こう岸に理想郷(浄土)を見出し、彼岸を想念させるものである。それに対し、入舟は浄土を此岸に見出す思想を表すものである。 池の左前方には亀島と鶴石がある。大ぶりな岩石で組まれた亀島には、唐人帽丸形と呼ばれる石灯籠が据えられ、石橋で岸と繋げられている。その側面によりそうように立てられた立石によって鶴の姿があらわすのが、鶴石である。 亀島の左後方には、蓬萊山の姿が岩組みによって築かれている。この蓬莱山には今枝重直の一代記が刻まれた石碑が建てられており、木下順庵の撰文、丈山の篆額を伝える刻銘がある。石碑の土台は、亀と麒麟の合体した姿をかたどる石組みである。古代中国の思想によれば、亀は地上の支配を、麒麟は天空の支配をそれぞれ意味するものとされ、両者の合体した姿は宇宙全体の姿となる。そうした点から、この石碑の周囲の造作は、石碑の未来永劫の存続を願うものと解される。蓬莱山の右側奥手には、亀島にあるのと同型で半分ほどの大きさの丸型灯籠が置かれ、奥行きを感じさせるための工夫がなされている。 書院内部 鷲の杉戸絵 書院東縁のつくばい 書院内から見た庭園
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