対持久戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 07:20 UTC 版)
△後手 なし ▲先手 なし第2-1図 ▲6七銀まで △後手 なし ▲先手 なし第2-2図 ▲6五歩まで 対穴熊では△3四歩をとる変化になることはめったになく、居飛車側がそれを防いで△4四歩や△4四銀と形を決めることが多いが、それが振り飛車側の狙いでもある。そのため厳密な意味での玉頭銀は出現しにくいが、他の狙いが生じる。 第2-1a図は、先手三間飛車。第2-1a図のように、後手穴熊を組む手前で先手が速く▲6七銀とした場合、ここで△5三銀型にしないと、△4四銀~△3三銀の展開はしにくくなる。△5三銀にかえて△3三角なら▲5六銀で、玉頭銀を防いで△4四歩と決めさせれば、ビック4などには組みにくくなる。 また第2-2図のように先手四間飛車であると、後手△2二玉▲5六銀に△4四銀をすると、▲6五歩が生じる。△4二角で飛車先を防ぐと▲4五銀が生じ、△3三銀でも▲3四銀が生じている。したがって、四間飛車の場合は先手▲5六銀には△5三銀型でも△4四歩が多い。△4四歩を指させることによって居飛車の穴熊は弱体化し、△4二角の引き角や右銀からの仕掛け、△3三銀からのビッグ4を消すこともできる。しかし早めに▲5六銀と上がる指し方は振り飛車側の形を決めてしまうことにもなるため、場合によっては振り飛車側が打開が難しい状況に陥ることもある。 △後手 なし ▲先手 なし第2-3a図 ▲4五銀まで △後手 銀 ▲先手 なし第2-3b図 ▲6四銀まで 但し、無事に△4四銀型に組めたとしても第2-3a図のように銀が進出する場合もある。後手の指し方での穴熊に運ぶのは若干横着なところがある。以下手順例としては△4五同銀▲同歩で、後手は△3二金▲1五歩などの他、△7四歩、△5三角や△5一金があげられる。△5三角には▲6四歩△同歩▲6三銀△6五銀▲6七金、もしくは▲4四歩△同歩▲4三銀△4五銀などがみられるが、後手は打開方策が単調でバリエーションが少ない状態となるわりに、先手からは手が続く。▲4四歩は△3二金でも▲1五歩に代わって仕掛ける順もあり、以下△同歩▲同角△8六歩▲6四歩△同歩▲5三銀など、先手は比較的手が続く。したがって△5三角▲4四歩△5二金右なども考えられ、これで穴熊が収まればまずまずとなる。また、△5三角に▲6四銀とし(第2-3b図)以下△同歩▲同歩もあるが、これには△5一金右▲6三歩成で、△3五角と逃げる手でよい。したがって先手も▲6四銀の手順では先に▲4七金として、以下△5三角に▲6四銀△同歩▲同歩とし、△3五角に▲3六金と角を狙う指し方もある。 先手としては右金が3一までの間に動くことで、実践的には振り飛車が十分といえる。このケースは局数は少ないが、類例の仕掛けは櫛田陽一や窪田義行らが試みており、美濃囲いがしっかりしている状態での仕掛けでもあり、居飛車も嫌なところとされている。 △後手 なし ▲先手 なし第2-4a図 ▲4五銀まで △後手 なし ▲先手 歩2第2-4b図 △7四歩まで △3四歩をとらせる一例として第2-4a図は『史上最強!ワセダ将棋』(講談社、1982年)にある局面。双方囲いを組んでから、第2-3図の手前▲5六銀の進出に△3二金として▲4五銀を誘い、以下△8五歩▲7七角△4二角▲3四銀△8四飛▲7八飛△4四銀▲5九角△3一金寄▲7五歩△8六歩▲同歩△7四歩(第2-4b図)となってみると、確かに振り飛車側が1歩得したが、これからの将棋の展開である。
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