対北朝鮮事業の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/17 10:06 UTC 版)
問題点としては北朝鮮住人の金剛山立ち入り禁止で韓国人が言葉を交わせる北朝鮮国民は当局者とガイドだけという南北民間交流が名目なのに出来ない仕組みになっていることである。金剛山観光は北朝鮮の一般人から取り上げたのも同然であり、このように北朝鮮政府を利する事業を行っているのではないかという非難がある。金剛山観光事業では当初月額約10億円以上にもなる巨額の観光料を北朝鮮側に支払っていた。現在は支払額は減ったが、一般的な2泊3日の観光では一人当たり80ドルの観光料を北朝鮮側に支払っている。その上金剛山や開城そのものも、北朝鮮側に巨額の資金を支払い、長期間借り受ける形で事業を展開している。また金剛山や開城で働く北朝鮮労働者への賃金は、現代峨山から直接渡されることはなく、全て北朝鮮当局を通して渡されることになっているが、給料の大部分が北朝鮮当局の懐に入っていると推定されている。これら対北朝鮮事業によって北朝鮮に流れる資金は、北朝鮮の延命に力を貸すものだという強い非難を受けている。続いて韓国政府が進める太陽政策に則った事業を行っている関係上、現代峨山の事業は韓国政府の強い影響を受ける点が挙げられる。現代峨山の行っている事業を中断させられない韓国政府は、2002年には金剛山旅行代金を観光客に直接補助するという破天荒な方法で、現代峨山の事業を守るということまでした。一方で北朝鮮と現代峨山側が対立した場合などは韓国政府の干渉を受けることにもなるが、太陽政策を推し進めている現在の韓国政府が対北朝鮮事業を中止させられないことを上手く利用して、現代財閥は赤字続きであった対北朝鮮事業のみならず現代財閥そのものも守ってきた。現代峨山では強制ではないが、社員は少なくとも一度は北朝鮮に赴任する風潮がある。北朝鮮で仕事をすることによって、北朝鮮側の考えが理解しやすくなって日常業務に大いに役立つというのがその理由である。赴任先は金剛山か開城である。赴任期間は最低一年間で、給料も韓国国内よりも格段に良い。しかし現地では北朝鮮側と毎日のように交渉等を行うわけであるが、考え方が大きく違う韓国側と北朝鮮側はよく衝突があり、ストレスが絶えない仕事である。北朝鮮では仕事が終わった後の息抜きの場がほとんどないことも大きな問題である。また、金剛山では現代峨山以外で金剛山に進出している企業職員が駐在していて、中国系朝鮮族も大勢出稼ぎに来ている。開城工業団地でも各進出企業の職員が駐在している。現代財閥は金剛山と開城の独占開発権を握っているため、現代峨山はこれら進出企業の上に立つ形で北朝鮮側との交渉などの業務を進めている形になる。2011年8月に2008年7月からの中止期間から時間経過、投資した観光施設も老朽化したため、従業員は完全に撤収した。 2006年7月に発生した北朝鮮によるミサイル発射実験の影響で離散家族再会事業は中断され、北朝鮮の数少ない合法的収入源となっている金剛山観光事業と開城工業地区事業についてアメリカから問題提起がなされ、10月の北朝鮮核実験の後には金剛山観光事業と開城工業団地事業に対する批判が高まり、改めて現代峨山の事業は不安定な北朝鮮情勢の趨勢に左右されることが浮き彫りになった。事業の10年間で金剛山観光事業を進めながら支払った分が5597億ウォン(現在のレートで511億円)だ。これとは別に、現代峨山が施設などに投じた額は累計で2268億ウォン(約210億円)に上る。これまでに現代峨山が金剛山事業に投じた資金の総額は7670億ウォン(約710億円)である。現代峨山は2008年に金剛山観光を中止して以降、10年間で2247億ウォン(約208億円)に上る営業損失を出した。売り上げの損失だけで推定1兆5000億ウォン(約1388億円)になる。対北朝鮮事業そのものの先行き不透明感である。現代財閥以外の多くの韓国財閥は対北朝鮮事業に及び腰である。現代財閥は巨額の対価を支払って北朝鮮当局から様々な事業の独占権を得たはずなのであるが、朝鮮日報によると事業を進めるたびに様々な無理難題が飛び出す現状を見て、北朝鮮はとても事業を進める相手とはなり得ない。また北朝鮮という国そのものの先行きが不透明である。北朝鮮情勢が劇的な変化をすれば事業がどうなってしまうのか、これもまた不透明である。2018年11月18日から19日にかけ、北朝鮮の金剛山観光特区で行われた「金剛山観光20周年記念行事」で確認された各施設は、ほとんどが老朽化しており、まともに作動しない設備もあった。2019年10月末には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(国務委員長)が金剛山観光地区内にある韓国側施設の撤去を指示して、事業が破局を迎えている。
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