寄進
寄進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 15:31 UTC 版)
「リザ (キリスト教)」の記事における「寄進」の解説
貴重なオクラドやリザをイコンに「着せる」ことは、なにかの首尾が上手くいったあとで神へ奉献をし、感謝する習慣にちなんでいる。いまではこの伝統は失われてしまった。聖堂のイコン画は長老に寄進するため幾枚もがリザで覆われた。また次第に一般の来訪者による進物でもそれがなされるようになった。 イコンが描かれたならすぐにきよめの儀式がおこなわれる。それをおさめた聖堂は、そのままリザの資金を捻出するために奔走する。それまで…イコンには顔と手があるだけである。そのままで不足しているものの価値は、白銀の質とそれを彫りあげる職人の腕前にかかっている。ロシアの聖堂という聖堂におかれた、夥しいほどのそれらの作品群は、異国の旅人にも衝撃的な印象を与えた。そのうちの一人はこう述べている:。 「 生神女や聖者たちの聖像画には、たいてい顔と手が描かれているだけだ。しかし、その装いたるや黄金のリザなのであり、イコンとともに崇められている。リザの一面に真珠や宝石がちりばめられ…トロツエの大修道院ひとつとっても、そこにある真珠は他のヨーロッパ全土からかき集めてもまかなえないだろう。 」 生神女のイコンの装飾は、非常な人気を博した。ロシアで最も絢爛たる黄金のオクラドの一つは、ウラジーミルの生神女のためにアンドレイ・ボゴリュブスキー公が特注したものである(文献によれば彼女のために黄金だけで5キログラムが費やされた)。初期のオクラドは、あわせて1プード(およそ16キログラム)もの金が使われているが、これも上流社会の成功者のみが成せることであった。ドンの生神女のために17世紀につくられた(現存していない)オクラドについての記述は有名である。これは1680年に福音大聖堂が写本のわずかなページにまとめたものであった。 「 …真珠飾りのついた冠は、エメラルド、サファイヤ、ガーネットがしつらわれている…大ぶりの宝石と真珠が黄金の星にはめこまれ、やはり黄金の肩口に重ねられている。イヤリングはサファイヤだ。主と生神女に感謝するための12の祭日?を表現するためにオクラドの地には金版がつかわれ、黒金で仕上げられており、大きな貴石がちりばめられている…聖像画には、2枚の真珠のウルブース(頭飾り)、2枚の黄金のツァーティ(後光を表す半円盤)がはめこまれた。銀箔のおされたすべやかな「板」は瑠璃とエメラルドで飾られ、枠にそって真珠があしらってある。生神女と幼子イエスの、ほかに類を見ないほど貴重なリザの胸元には、宝石と真珠のついた黄金の十字架が5つくくりつけてある。そのパナギアの一つは「聖十字架」であり、その他の十字架とパナギアも聖遺物である。 」 君主政治のもと、尊ばれるべきイコン画をオクラドで飾りつける伝統は、さらに時代が下っても保たれていた。1768年には女帝エカチェリーナ2世が、生神女福音大聖堂にあるカザンの生神女に自らの金冠でもってそのオクラドの一部としている。あるいは反対に、1722年1月にはピョートル1世が次のような命令をだしている。「今後、ロシアにおいて聖画像をかかげるあらゆる教会は、つまりは金貨、銀貨、銅貨、その他舶来品を掲げているものと思わねばならない。これを禁止する」。命令は長老や民衆の不興をかったが、にもかかわらずあわゆる奉献品がイコンから取り外されることとなった。
※この「寄進」の解説は、「リザ (キリスト教)」の解説の一部です。
「寄進」を含む「リザ (キリスト教)」の記事については、「リザ (キリスト教)」の概要を参照ください。
「寄進」の例文・使い方・用例・文例
寄進と同じ種類の言葉
品詞の分類
- >> 「寄進」を含む用語の索引
- 寄進のページへのリンク