たじゅう‐じんかく〔タヂユウ‐〕【多重人格】
解離性同一性障害
多重人格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 05:57 UTC 版)
ゲイシーは精神鑑定のため、シカゴのセルマック精神病院の犯罪精神科病棟に移送された。そして「私の中には4人のジャックがいます。全員のことを詳しくは知りません。家であったことはすべて4人目のジャック"ジャック・ハンリー”が行ったことなのです」と証言した。 ゲイシーによれば彼の中の4人のジャックがゲイシーの肉体をコントロールし、そのあいだの記憶はまったくないのだという。1人目のジャックは、酒と麻薬をやってから少年を漁りに出かけ、少年を車に連れ込んでセックスをする。そうした中で2人目のジャックが現れ、行為が終わると裸のまま車外に放り出し、そのまま逃亡しては楽しむという。俺は殺人課のベテラン刑事であるとゲイシーに語っていたという。2人目のジャックが引っ掛けた少年を、自宅まで無事に届けるのが3人目のジャックで、心優しい警察官であるという。そして、3番目のジャックが少年を諭しているときに突然現れて、手の届かないところへ少年を連れ去っていくのが4人目のジャックである、という。 ちなみにゲイシーの証言を得たのは1978年9月27日。コロンバス・シティズン・ジャーナルが、ビリー・ミリガンの事件について、ミリガンが10の人格を備えていることを一面トップの記事にした3か月後のことであった。 ゲイシーは、多重人格症として診断されることに全力を尽くした。1980年2月6日から始まった公判で、ゲイシーは自分が多重人格であることを主張し続け、無罪を訴えた。しかし陪審は訴えを退け有罪評決を下した。33人の若い男性を殺害した理由に多重人格を持ち出しても「詐病」であるとされた。1980年に12回の死刑判決と21回の終身刑判決を受けたが、数百万ドルに及ぶ莫大な資産を利用して、20回以上の上訴と模範的な服役生活により刑を免れ続けてきた。また自分を妬む人や警察の陰謀であるとして冤罪を主張し、死刑制度の違憲性を訴えて上告を繰り返した。これにアメリカ国内で非難が集中し、いち早い死刑執行を願う人たちがデモ活動を行ったこともある。 ゲイシーを心理学的に鑑定した臨床医は「彼のIQはかなり高く、神経学テストをはじめとする7種類のテストでも、脳障害の兆候は見られなかったと診断した。一方でロールシャッハテストや主題統覚検査では異常を感じさせる反応を示し、心理面の安定をみるミネソタ多面人格目録(MMPI)でゲイシーが極めて異常であり、思考の混乱から精神分裂かもしくは妄想症の可能性が強い」とされた。 この検査結果では、ゲイシーは「自分を有利にしようと動いているわけではない」ということが認定された。元スタンフォード大学行動科学課長および研究センター会長ローレンス・フリードマンは、ゲイシーを極めて凶暴で歪んだ性欲に巻き込む人格相として存在しているとした。ゲイシーのトラウマをアルコールに耽っていた父親と現在までに及ぶ本人自身の発作によるものと指摘、幼いころから彼を責め苛み続けた心身症と神経症が、彼の犯罪性を作り上げる土壌となったと証言した。一方「このような症例を罰するか罰しないかの判断は、法と社会の境界上の問題であり、心理学の立場からは言及できません」とも話した。
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