回路の設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 07:55 UTC 版)
「EDVACに関する報告書の第一草稿」の記事における「回路の設計」の解説
リレーよりも真空管を使用するべきであると主張した。真空管が1マイクロ秒で動作する能力があるのに対し、リレーは10ミリ秒でしか動作しないからである。 フォン・ノイマンは、コンピュータをできるだけ単純にして、演算を重複させることでパフォーマンスを向上させる試みは回避することを提案している(5.6節)。算術演算は一度に1つの二進数のみ行われる。2桁の二進数の加算は1マイクロ秒かかると推定しているため、30ビットの乗算には約302マイクロ秒、つまり約1ミリ秒かかることになる。 フォン・ノイマンの設計は、神経細胞をモデルとした、彼が「E素子」(E element)と呼ぶもので構築されているが、これは1つか2つの真空管を使って構築できるデジタル素子である。現代の用語では、最も単純なE素子は、2入力のANDゲートで1つの入力を反転(抑制入力)したものである。より多くの入力を有するE素子は関連するしきい値を有し、(唯一の)抑制入力がパルス化されない限り、正の入力信号の数がしきい値以上となったときに出力を生成する。彼は、より多くの入力を持つE素子は最も単純なバージョンから構築できると述べているが、必要な真空管の数が減るので、それらを真空管回路として直接構築することを提案している。 より複雑な機能ブロックは、これらのE素子から構築される。彼は、これらのE素子を使って、加算、減算、乗算、除算、平方根、および2状態メモリブロックと制御回路用の回路を構築する方法を示している。彼はブール論理の用語を使っていない。 回路は、真空管発振器(または水晶振動子)により生成されたマスターシステムクロックと同期していなければならない。同期設計では時間遅延を考慮する必要があるため、彼の論理図には単位時間遅延を示すための矢印記号が含まれている。彼は、電気パルスは1マイクロ秒で300メートル移動するので、はるかに高いクロック速度、例えば毎秒108サイクル(100メガヘルツ)までは、ワイヤ長は問題にならないだろうと指摘している。 エラーの検出と修正の必要性については、言及はされているが、詳しくは述べられていない。
※この「回路の設計」の解説は、「EDVACに関する報告書の第一草稿」の解説の一部です。
「回路の設計」を含む「EDVACに関する報告書の第一草稿」の記事については、「EDVACに関する報告書の第一草稿」の概要を参照ください。
- 回路の設計のページへのリンク